■土日取引を終了させてしまったOANDA Japan
FX業界で唯一、土日にも取引することができたOANDA Japanがこのたび土日取引を終了させた。7月7日(土)以降は土日取引ができなくなっている。
土日取引が終了となったのはOANDA Japanの親会社である米国のOANDA Corporationも同様だ。
「土日に取引できる」というのは非常にユニークなサービスだっただけに、とても残念なニュースだ。
OANDA CorporationのCEO、K・デューカー氏は「週末の取引量が非常に少ない状況やリスクを比較し、熟考した結果、マーケットが存在しない時間帯の営業を終了するという結論」を出したとコメントしている。
そして、同社の技術担当役員、トニー・セーバー氏がこのたび出したコメントの中には「世界中のマーケットがクローズしている時間帯に取引を維持継続させることは、挑戦的でかつ大変意義深いことです。実際の取引データがない中でOANDAは取引レートを提示し続けてまいりましたが、お客様の取引をヘッジする市場がないことから、大きなリスクを弊社が負担しておりました」という言葉があった。
この言葉のとおり、まさしくOANDAの土日取引は挑戦的なものだった。
■OANDAではなぜ、土日取引が可能だったのか?
FX会社は通常、顧客から注文を受けると、多かれ少なかれ、インターバンク市場でカバー取引を行い、そのリスクをヘッジしている。
たとえば、顧客が米ドルを買えば、FX会社は米ドルを一瞬、売った状態になるが、その分の米ドルをインターバンク市場で買うことで、売り買いのポジションを相殺しているのだ(実際はもっと複雑だが、簡略化して説明した)。
では、インターバンク市場が開いていない土日に取引可能なOANDA Japanでは、そのあたりのヘッジをどうやっているのか? この点はザイFX!としても「ナゾ」と感じていたのである。
そのため、OANDA Corporationの共同創業者であり、当時CEOだったマイケル・スタム氏が来日した際、このことについて質問したのだった。
【参考記事】
●1ドル取引、土日取引が可能なFX会社!? 日本上陸したOANDA(オアンダ)って何だ?
上の記事で詳しく触れているが、なぜ、OANDAでは土日取引が可能なのか、マイケル・スタム氏の答えをざっとまとめると以下のとおりだ。
(1)スプレッドをワイドにする
(2)ユーザーが取引することで、為替レートが変化し、そのこと自体がリスクマネジメントになる
そして、このようなやり方でOANDAでは、2001年3月から土日取引を行っており、特に問題は起きていなかったとのことだった。
しかし、非常に残念なことに、この挑戦的なOANDAの試みは今回、終了となってしまった。
■CEOの交代と関係があるのか?
どうしても土日に取引したいという人にとっては、スプレッドがワイドになろうが、取引できるFX会社があることはうれしいことではないだろうか。
しかし、同社の技術担当役員、トニー・セーバー氏は「リスクを軽減するために週末のスプレッドを広げる対応が、お客様のコストを極力最低水準に保つというOANDAの営業姿勢に反する」かのように見られているとコメントしており、これが業界慣例に合わせて、土日取引を終了する公式の理由となっているようだ。
ちなみに、OANDA CorporationのCEOは2012年5月にマイケル・スタム氏からK・デューカー氏に代わったばかりだった。もしかすると、CEOの考え方の違いが、土日取引の終了に影を落としているのかもしれない。
ただ、土日取引ができなくなっても、OANDA Japanはまだまだユニークな特長を持ったFX会社と言える。
何しろ、1通貨単位から取引可能で、スワップ金利が毎秒付与され、チャートには5秒足、10秒足、30秒足が表示できてしまうのだ。
【参考記事】
●1通貨から取引可能、土日に取引可能で5秒足もあるOANDA Japanを使ってみた!
土日取引はなくなってしまったが、それとは違う、ユニークなことをまた何かやってくれるのではないか…。OANDA Japanはそんな期待を抱かせてくれるFX会社なのである。
>>>OANDA Japanの最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
(ザイFX!編集部・井口稔)
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