■長期トレンドで見る現在のユーロ/円は下落トレンド
今回はユーロ/円のチャート分析を行なう。
まずは、下の月足チャートでユーロ/円の長期トレンドをご確認いただきたい。
ユーロ/円は、2008年に約170円(正確には、169.95円)の高値をつけてから、下落に転じた。
そして、月足チャートで見ると、2008年の高値を起点としたレジスタンス・ラインを上に抜けたのだが、結局トレンド転換が起こらなかったと判断したので、今回の高値に合わせたレジスタンス・ラインを「緑の破線」で表示している。
(出所:米国FXCM なお、ユーロが発足した1999年より前のチャートはECU(欧州通貨単位)を代わりに使ったチャートになっている模様(ザイFX!編集部))
つまり、ユーロ/円は下落トレンドのままで、上昇トレンドに転換していない、と考える。要するに、現在のユーロ/円のトレンドは下落トレンドである、ということだ。
■2008年半ばにヘッド&ショルダー完成後、大暴落
次に、週足チャートをご覧いただきたい。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限149円程度、上限170円程度の「ボックス相場」を作った。
この「ボックス相場」は、結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成し、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。
下のチャートでは、この「下限149円程度、上限170円程度のボックス相場」をピンクの枠で囲った。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで人の頭と両肩に見立てたもの。天井を示す典型的な形とされている。「三尊型」「三尊天井」などとも呼ばれる)
(出所:米国FXCM)
■2010年5月にボックス相場を下抜けし、売りシグナル点灯
2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後、2008年後半から2010年4月まで、ユーロ/円は上限140円程度、下限112円程度の「ボックス相場」を形成していた。
上のチャートでは、この「下限112円程度、上限140円程度のボックス相場」を青の枠で囲った。
そして、2010年5月に112.00円を下に割り込んだことで、その時点で再度「売りシグナル」を発した、と考える。
上限140円程度、下限112円程度の「ボックス相場」を下に抜けたのだから、その後さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いていた。
しかし、112.00円を割り込んで以降のユーロ/円は、2010年4月ないし5月頃から、2011年3月28日に至る期間、「下値105円程度、上値116円程度のボックス相場」を形成した。
(出所:米国FXCM)
上のチャートでは、緑の枠でこの「下値105.00円、上値116.00円のボックス相場」を表示している。
■G7介入で相場の流れが変わるも、上値は重い展開
そして、2011年3月29日(火)に116.00円を上に抜けている。
ユーロ/円の大きな下落トレンドを考えると、下値の105円を下に抜ける可能性が高いと考えていたのだが、2011年3月のG7(先進7カ国)による協調介入により、相場の流れが変わったと考える。
2011年3月29日(火)に、ユーロ/円は116.00円を上に抜けて、この時点では「買いのシグナル」を発したと考える。
116.00円を上に抜けて上伸したユーロ/円だが、高値は123円台ミドル程度で、改めて上値が重い展開に変化した。
■下落・反発を繰り返すも、結局下落トレンドは変わらず
その後、2011年5月6日(金)に、ユーロ/円はチャート・ポイントだった116.00円を下に割り込んだ。
今度は、116.00円を下に割り込んだことで、「売りシグナル」を発したと考える。
2011年3月29日(火)以降も、116.00円は重要なチャート・ポイントだったと考えるが、その後の値動きを含めて全体を俯瞰すると、ユーロ/円は、「上値124円程度、下値105円程度のボックス相場」を形成していたと考える。
そして、ユーロ/円は、下限105円を下に割り込んだ時点で「売りシグナル」を発した。
下限105円を下に割り込んだ時点でのごく目先の下値のメドは、100円(100.00円)程度だったと考える。
そして、2011年12月30日(金)に100.00円を割り込んだ時点で、改めて「売りシグナル」を発した。
100.00円を割り込んで97.00円近辺まで急落した後で、急激に、大きく反転上昇している。
そして、97円から111円台まで大きくリバウンドすることで、中長期のレジスタンス・ラインを上に抜けたように見えたのだが、月足のコメントで述べたように「トレンド転換が起こらなかった」と考えるので、改めて今回の高値に合わせて、中長期のレジスタンス・ライン(紫の破線)を引き直した。
(出所:米国FXCM)
現在の相場は、上のチャートの赤い枠で示した「下限97円程度-上限124円程度のボックス相場」の下限を改めて割り込み、「売りシグナル」を発したと考えている。
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