■ドラギECB総裁発言をきっかけにユーロ/米ドルが急騰
今週はユーロ/米ドルのチャート分析を行なう。
基本的な考え方に変化はない。
大局は、欧州債務危機による「ユーロ下落」、と判断している。
7月26日(木)の海外市場では、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁が、「ユーロを守るために、あらゆる行動をとる用意がある」と発言したことで、「欧州債務危機に対する何らかの対応策が発表されるのではないか?」といった期待から、スペイン国債が買い戻されるなど、リスク回避(リスクオフ)の姿勢が後退した。
スペイン10年国債は7月25日(水)には一時7.75%をつけたが、翌26日(木)の終値は6.93%まで低下した。
ドラギECB総裁の発言をきっかけに、ユーロ/米ドルは、1.23ドル台ミドル程度にまで上昇した。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
このところの安値が1.20ドル台ミドル程度だったことと比較するならば、安値から300ポイントの上昇をみたことになる。
しかし、ドラギECB総裁の発言は具体策を示しておらず、今後どういった行動をとるのか、現時点では判然としない。
8月2日(木)にECB定例理事会が開かれるが、その際に具体策が示されるのか、注目している。
7月26日(木)のユーロ/米ドルの上昇、およびその後の上昇は、このところのユーロ/米ドル下落のショート・カバー(=ショート・スクイズ)に過ぎないのだろう、と考えている。
■「夏休み相場」には便宜的ストップ・ロス作戦が有効
「夏休み相場」で、すでに市場参加者が少なくなってきている。
7月27日(金)は、ロンドンオリンピックの開会式だったが、そういった大きなイベントを控えていたので、市場参加者が気を抜いていたことも、7月26日(木)、27日(金)のユーロ/米ドルのショート・カバーを大きくさせた理由だろう、と考えている。
もちろん、こういった大きな急変動はいつでも起こり得るものだが、「夏休み相場」の期間中は、平素の相場よりも起こりやすい。
大局はユーロ下落で不変と考えるが、便宜的なストップ・ロス・オーダーを使って、そのストップ・ロス・オーダーがつくようならば、より良いコストでユーロを売り直す、といった対応が有効と考える。
そういった対応が精神的にもきつく、難しいことは十分に承知しているが、こういった相場では、それ以外にはうまく対応する方法がない。
こういった大きなショート・カバー(=ショート・スクイズ)があるのならば、「ユーロ買いで利益を上げたい」と考える人がいることも理解できるが、それは「ごく短期のスキャルピング」であり、そういった戦い方をしても長続きしないし、最終的には勝てない、と考える。
それではいつものように、月足、週足、日足と順にチャート分析をしていこう。
■「高値圏の乱降下」は一般的に「売りシグナル」
まずは、月足チャートからご覧いただきたい。
基本的な考え方に変化はない。
引き続き「ユーロ売り」で戦うべきと考えている。
月足チャートで見ると、ユーロ/米ドルは、0.8500ドル近辺(安値は0.8200ドル近辺)から1.6000ドル近辺まで、大きく上昇している。
1.6000ドル近辺の高値をつけて以降は、安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンで、大きく上下動を繰り返している。
(出所:米国FXCM なお、ユーロが発足した1999年より前のチャートはECU(欧州通貨単位)を代わりに使ったチャートになっている模様(ザイFX!編集部))
この「安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンでの大きな上下動」は、個人的には「高値圏での乱高下」だと判断している。
必ずというわけではないが、一般的に「高値圏での乱高下」は「売りのシグナル」である。
つまり、この大きな上下動はいずれネック・ライン(=下限)を下に割り込むことを示唆しているのだろう、と推測している。
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