■ウェッジを下に抜けて「売りシグナル」点灯
目先の相場は、「短期のレジスタンス・ライン(2)」(水色の破線)を上に抜ければ目先の「買いシグナル」、「短期のサポート・ライン(2)」(緑の破線)を下に抜ければ目先の「売りシグナル」という状態になっていた。
つまり、米ドル/円は「短期のレジスタンス・ライン(2)」(水色の破線)と「短期のサポート・ライン(2)」(緑の破線)で、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した。
「三角保ち合い(ウェッジ)」のセオリーは、「抜けた方につく」である。
今回は、再掲載した下のチャートに示したとおりに、下に抜けて「売りシグナル」を発した状態だ。
(出所:米国FXCM)
6月上旬につけた安値(77円台ミドル)が、目先のサポートになっており、それを下に抜けるとさらなる「売りシグナル」となるが、6月上旬に付けた安値(77円台ミドル)がサポートされる可能性も、引き続き残っている。
なお、上のチャートには、77.50円に「赤の水平線(細線)」を表示している。
米ドル/円は、大局では「買いシグナル」を発した状態だったのだが、米ドル/円が76.00円近辺から84円台にまで上昇した際に、その上昇スピードが極端に速かったので、いったん調整の反落をした、と考える。
つまり、上の日足チャートに示したように、「短期のサポート・ライン(1)」(ピンクの破線)を割り込んだその時点で、調整局面に入ったと考える。
だから、中長期のトレンドに従い、米ドル/円のロング・ポジション(米ドル/円の買い持ちポジション)で戦おうとする作戦でも、この調整局面の間は、いったんスクエア(ポジションなし)にすることがセオリーであった、と考える。
調整の下落がどこまであるのかを探しながら、改めて次の「買いのポイント」を考えるところであった、と考える。
そして、現在もその状況が続いている、と考える。
■こう着状態の米ドル/円相場からいったん離れるのが賢明
大局で見れば、米ドル/円は、今年(2012年)の春頃に「下落トレンド」から「上昇トレンド」に転換した、と考えている。
それは変わらない。
しかし、米ドル/円は、こう着状態に入り、相場の与件(相場に与える条件)に変化が出てきたように思う。
目先、何も変わっていないので、これからその変化が何なのか、徐々に判明するのだろうと考える(与件に対する市場参加者の受け取り方、解釈の仕方に変化が出てきたのかもしれない。)
目先の「こう着相場」は「安値77円台ミドル程度-高値80円台ミドル程度のボックス相場」と考えることができる。
欧州危機に対して市場参加者の危機意識が高まってきていることや、QE3の可能性が高まってきていることなどを踏まえ、そして、本格的な「夏休み相場」であることを考慮すると、こう着した相場でポジションを持ち続けることは、「リスクばかりが高くリターン(期待収益)が望めない状況の中で、次の展開を待ってじっとしているだけ」のように感じる。
個人的には、「夏休み相場」の期間は「休むも相場」と考えている。
米ドル/円に関しては、いったん相場から離れて冷静に見つめることも大切、と考える。
■休むのがベストだが、もしやるのならユーロ関連を
現在は、「夏休み相場」の最中である。
しかし、ユーロ/米ドル、ユーロ/円などのユーロ関連の相場は、引き続き「ユーロ危機」を材料に大きく下落する可能性がある、と考えている。
現在の「夏休み相場」の最中に何かするのならば、米ドル/円ではなく、ユーロ/米ドル、ユーロ/円などのユーロ関連の相場と考える。
ユーロ危機に関しては、根本的な解決策は示せないものの、時間稼ぎ(=問題の先送り)を狙ってドラギECB(欧州中央銀行)総裁は、「ユーロを守るために、あらゆる行動をとる用意がある」と発言している。
具体策は、まだ示されていない。
そのため、「どのような解決策が示されるのだろうか?」といった期待感から、ユーロは目先では反発(上昇)気味に動いている。
こういった反発も、「夏休み相場」で市場参加者が極端に少ないために、増幅されて値が飛ぶような反応を示している。
こういったことも、「夏休み相場」の典型的な値動きと言える。
休むことができるのならば、8月いっぱいはすべて捨てて、9月からリフレッシュして再び相場に臨むことが上策、と考えている。
(2012年08月08日 東京時間11:30記述)
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