■米ドル/円は上下動しているように見えるが…
今回は、米ドル/円とユーロ/米ドルについてコメントする。
まずは、米ドル/円の1時間足チャートをご覧いただきたい。米ドル/円の値動きは、目先では保ち合いに推移している。
この保ち合い相場は、「下値77円台後半程度~上値78円台後半程度の約1円幅のボックス相場」と言える。
(出所:米国FXCM)
目先の値動きでは上がったり下がったりして、動いているように見えるが、実質的にはほとんど動いていない、と判断している。
この程度の値動きは動いたうちに入らない、と考える。
換言すれば、このところの目先の値動きからでは、上がるのか下がるのか判断ができない、と考える。
米ドル/円が、77円台ミドルを明確に下に抜ける場合は「弱い売りシグナル」と考える。ただし、その場合には介入警戒感が出てくると考えている。
米ドル/円自体は、すでにまったく主体性がない状態、と感じている。
今の(=目先の)米ドル/円が上がったり下がったりすることに無理矢理、理由をつけたり、無理に解釈をしようとするのは、無意味かつ有害と考える。
相場だから、この程度は上がったり下がったりするのは当然だ。
米ドル/円に、主体性がない(=やる気がない)のは、完全に外国為替市場が「夏休み相場」の状態であるから、と考えている。
ロンドン・オリンピックは終わったが、今週(8月13日~)は「お盆休み」である。「お盆休み」の週は、一段と市場参加者が少なくなる時期だ。
典型的な「夏休み相場」である。「夏休み相場」の時期はポジションを取らずに、マーケットといっしょに休んだほうが良い、と考える。
■ドラギ発言をきっかけにユーロ/米ドルは急騰
続いて、ユーロ/米ドルに関してだが、基本的な考え方に変化はない。
大局は、欧州債務危機による「ユーロ下落」と判断している。
7月26日(木)の海外市場で、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁が、「ユーロを守るために、あらゆる行動をとる用意がある」と発言したことで、「欧州債務危機に対する何らかの対応策が発表されるのではないか?」といった期待から、スペイン国債が買い戻されるなど、リスク回避(リスクオフ)の姿勢が後退した。
ドラギECB総裁の発言をきっかけに、ユーロ/米ドルは、1.23ドル台ミドル程度にまで上昇した。
【参考記事】
●ドラギ発言後の上昇は一時的なもの。ユーロ/米ドルは引き続き売りで戦うべき!
(出所:米国FXCM)
このところの安値が、1.20ドル台ミドル程度だったことと比較するならば、安値から300ポイントの上昇をみたことになる。
■ドラギECB総裁への失望でユーロは急落
しかし、ドラギECB総裁の発言は具体策を示しておらず、今後どういった行動をとるのか、その発言の時点では判然としていなかった。
だから、8月2日(木)に予定されていたECB定例理事会の際に、具体策が示されるのかが注目されていた。
8月2日(木)のECB定例理事会を直前に控えた時点で…
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