■QE3への期待から米ドル/円は急落
今回は、米ドル/円の分析を行なう。まず、下の4時間足チャートをご覧いただきたい。
(出所:米国FXCM)
4間足チャートを見ると、米ドル/円は、「緑の破線」で示した安値圏のボックス相場から、「ピンクの破線」で示した高値圏のボックス相場へシフトし、さらにそこから改めて「紫の破線」で示した安値圏のボックス相場へ急落している。
この「紫の破線」で示した安値圏のボックス相場を上に抜けたのだが、9月7日(金)の米国雇用統計の結果で、QE3(米国の第三次量的緩和策)への期待が高まったことで、米ドル/円は再び急落した。
上述のとおり、QE3の可能性が高まった状況であるから、米ドル/円がすぐに急騰することはない、と考える。
目先は、9月12日(水)~13日(木)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えての様子見に推移する、と考える。
なお、FOMC後のFRB(米連邦準備制度理事会)議長記者会見は、9月13日(木)である。
■中長期のトレンドは安値75.32円を更新するか否かによる
続いて、下の月足チャートで中長期のトレンドを確認していただきたい。
2007年6月の高値124円台から始まった、米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン(一番右の緑の破線)を上に抜けたことが読み取れる。
この「一番右の緑の破線」を、中長期のレジスタンス・ラインととらえるならば、トレンドが下落トレンドから上昇トレンドに転換した、と言える。
(出所:米国FXCM)
米ドル/円が、今回の安値75.32円を下に抜けると、つまり新値を更新(=歴史的最安値を更新)すると、上述のトレンド転換は明確に否定される。
しかし、気をつける必要があるのは以下の点である。
米ドル/円が現時点での高値程度(つまり84円程度)、ないしは高値85~86円程度をつけて、それから下落に転じる場合は、中長期のレジスタンス・ラインの傾きが緩やかになるだけで、下落トレンドから上昇トレンドに転換しないケースもあり得る。
チャートには、新たな中長期のレジスタンス・ライン(ピンクの破線)を加筆した。
(出所:米国FXCM)
個人的には「このライン(ピンクの破線)は、時間が経過するとなくなるのではないか?」と考えているが、現時点ではまだはっきりしないので、描かないこともまた恣意的にすぎると考え、表示した。
米ドル/円が、今回の安値75.32円を下に抜け、歴史的最安値を更新すると、この「ピンクの破線」が中長期のレジスタンス・ラインになる。
■2012年2月の80円超えの時点で上昇トレンドに転換か
続いて、下の週足チャートをご覧いただきたい。
週足チャートを見ると、明確にレジスタンス・ライン「緑の破線(太線)」を上に抜けた、と言える。
(出所:米国FXCM)
この値動きで、「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と判断するべきか? それとも、レジスタンス・ラインの傾きをもう少し緩やかにして、まだ上に抜けていない、と判断するべきか?
つまり、「緑の破線(太線)」をレジスタンス・ラインと判断するべきか? それとも、新たに引いた「ピンクの破線(太線)」をレジスタンス・ラインと判断するべきか?
私見だが、今年(2012年)の2月に80.00円を上に抜けた時点で、「緑の破線(太線)」をレジスタンス・ラインと考えて、「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と判断している。
つまり、「過去の重要なチャート・ポイントだった79.53円と、同じく過去の重要なチャート・ポイントだった80.00円を上に抜けていく場合は、勇気を持って『買い』でついていく。ただし『買い』でついていく場合は、必ずストップ・ロスを置く」と考えた。
2012年2月に80.00円を明確に上に抜け、その際には84円台にまで急騰したが、その値動きで(その時点で)、「76.00円近辺から84円台に乗せるまでのスピードが、極端に速いこと」が、気にかかっていた。
その時点で、そういった状況では「いつ何時に、いったんの調整反落(調整下落)があっても不思議ではない状態」だと判断していた。
週足チャートで見ると、2007年6月以来、2012年2月上旬まで、長きにわたり…
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