■急上昇したユーロ/円だが欧州経済はさらに悪化の可能性
今回はユーロ/円の分析を行なう。
まず、下の4時間足チャートをご覧いただきたい。
ユーロ/円は、「緑の破線(太線)」で示したサポート・ラインに従って上昇していたが、101円台ミドルを上に抜けると、その上昇スピードを加速させている(「緑の破線(細線)」は「緑の破線(太線)」の平行線)。
101円台ミドルから102円台に乗せたあたりに、ストップ・ロス(損切り)が集中していた、と考える。
(出所:米国FXCM)
直近の上昇に注目すれば、「ピンクの破線(太線)」で示したサポート・ラインに従って上昇していた、と言える。
大局で考えれば、ユーロ危機(欧州債務危機)はいまだに解決策が示されておらず、ギリシャに端を発した危機はスペインに波及した、と考える。
そして、今後もヨーロッパ経済は、もう一段悪化するだろう。
解決策がない(提示されていない)のならば解決するはずがなく、さらに悪い状態になると考えることが常識的、論理的な発想だと思う。
■サポートラインを割り込んだら「ユーロ売り」が正攻法
欧州経済がもう一段悪化するのならば、いずれ目先のサポート・ライン「ピンクの破線(太線)」を割り込み、さらに、目先のサポート・ライン「緑の破線(太線)」も割り込み、ユーロ/円は下落する、と考えてきた。
そして、下のチャートを見ればわかるように、目先のサポート・ライン「ピンクの破線(太線)は、すでに割り込んだ。
このサポート・ライン「ピンクの破線(太線)」を下に割り込むのを待って、「ユーロ売り・円買い」をするのが正攻法と考えていた。
(出所:米国FXCM)
「ピンクの破線(太線)」を割り込み、さらに「緑の破線(太線)」も割り込む場合は「売り乗せ」と考える。
このところの相場を振り返るならば、ユーロ/円は下のチャートに「紫の破線」で示した小さなボックス相場を上に抜けて「買いシグナル」を発し、上昇している。
また、100.00円を中心としたもう1つの小さなボックス相場(赤の破線)を作っていたが、これも上に抜けて「買いシグナル」を発し、急上昇した。
(出所:米国FXCM)
目先の上値のレジスタンスであった、102.00円近辺を越えると、ストップ・ロスを巻き込んでもう一段急騰し、高値は103円台ミドルをみている。
しかし、100円を上に抜けた水準からは、「ユーロ買い」でついていくのではなく、QE3(米量的緩和政策第3弾)の影響を見極めながら、「ユーロをどこで売るのか?」を考察するべきところ、と判断している。
「大局でのユーロ下落」に変化はない、と考えるからだ。
改めて100.00円を割り込む場合は、下落スピードが加速する可能性もある、と考える。
■長期トレンドで見る現在のユーロ/円は下落トレンド
次に、下の月足チャートでユーロ/円の長期トレンドをご確認いただきたい。
ユーロ/円は、2008年に約170円(正確には、169.95円)の高値をつけてから、下落に転じた。
そして、月足チャートで見ると、2008年の高値を起点としたレジスタンス・ライン(ピンクの破線)を上に抜けたのだが、結局トレンド転換が起こらなかったと判断したので、今回の高値に合わせたレジスタンス・ラインを一番右の「緑の破線」で表示している。
(出所:米国FXCM なお、ユーロが発足した1999年より前のチャートはECU(欧州通貨単位)を代わりに使ったチャートになっている模様(ザイFX!編集部))
つまり、ユーロ/円は下落トレンドのままで、上昇トレンドに転換していない、と考える。要するに、現在のユーロ/円のトレンドは下落トレンドである、ということだ。
■2008年半ばにヘッド&ショルダー完成後、大暴落
次に、週足チャートをご覧いただきたい。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限149円程度、上限170円程度の「ボックス相場」を作った。
この「ボックス相場」は、結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成し、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。
下のチャートでは、この「下限149円程度、上限170円程度のボックス相場」をピンクの枠で囲った。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで人の頭と両肩に見立てたもの。天井を示す典型的な形とされている。「三尊型」「三尊天井」などとも呼ばれる)
(出所:米国FXCM)
2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後…
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