■ユーロ/米ドルはもう一段上昇の可能性もあるが…
最後に、日足チャートの分析を行なう。下のチャートをご覧いただきたい。「短期のサポート・ライン」を割り込む場合に「売りシグナル」を発し、「短期のレジスタンス・ライン」を上に抜ける場合には「買いシグナル」を発している様子を表示した。
(出所:米国FXCM)
俯瞰すると、ユーロ/米ドルは「ピンクの破線(太線)」で示したレジスタンス・ラインに従って下落していた。
このレジスタンス・ライン「ピンクの破線(太線)」を明確に上に抜けたので「買いシグナル」を発し急上昇した、と考える。
ユーロ/米ドルが1.20ドル台から1.31ドル台へ急騰した理由は、QE3への期待感と、実際にQE3が実施されたことだった、と考える。
先にも述べたが、当面のところは「QE3実施を材料に、ユーロ/米ドルがどこまで上昇するのか?」を見極める必要がある、と考える。
確かに、QE3を材料にもう一段の上昇を見る可能性はあるのだが、1.2500ドル近辺から1.31ドル台までの上昇スピードが速すぎるので、この水準から「ユーロ買い・ドル売り」でついていくのはやめた方が良い、と考えている。
■当面のところはQE3による影響を様子見すべきか
直近の値動きを見ると、1.31ドル台の高値をつけてから下落に転じ、ジリジリと安値を更新した。
当面の高値(リバウンドの高値)は、1.31ドル台だった可能性もある。
再掲載した下のチャートに示した「短期のサポート・ライン」(一番右の「緑の破線」)を下に割り込む場合は「売りシグナル」だ。
(出所:米国FXCM)
7月のドラギECB(欧州中央銀行)総裁の発言以降は、急騰と下落を繰り返し、乱高下状態だったが、俯瞰して見ると1.20ドル台ミドルを安値の起点として、1.31ドル台にまで上昇している。
明確なストップ・ロスの水準は、1.28ドル台前半程度だったので、QE3実施を材料に急騰したことで、ユーロの売り方(ユーロ・ショート派)は、いったん損切りを敢行すべきだった、と考える。
大局での「ユーロ下落トレンド」には変化がない、と考えるが、1.28ドル台前半を明確に上に抜ける場合は、いったん「ユーロ売りポジション」は損切りの買戻しをして、改めてユーロの売り場を探す、と考えたからだ。
直近のユーロ/米ドルの上昇、つまり1.26ドル台ミドルを上に抜けてからの上昇は、ユーロ危機の解決を材料にした値動きではなく、米国のQE3への思惑を材料にしたものだ。
そして、QE3実施が発表された。
QE3の効果が終われば、改めて欧州の債務危機を材料に、ユーロが下落する、と考えている。
当面のところは、QE3の影響を見るべき、とも考えている。
■新値更新水準に損切りで少額の「ユーロ売り」も良い試み
まだ、QE3の影響は判断できない状況だが、改めて新値更新水準(つまり1.32ドル台前半程度)にストップ・ロス(損切り)を置いて、少額の「ユーロ売り・ドル買い」をスタートさせることも、良い試みだと考えている。
上のチャートに示した「短期のサポート・ライン」(一番右の「緑の破線」)を下に割り込む場合は「売りシグナル」であるから、それを待って「ユーロ売り」で参入することがセオリー、と考える。
(2012年10月17日 東京時間08:45記述)
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