■衆院選の結果で約5円の米ドル高・円安に
12月16日(日)の衆院選挙の結果は、事前の下馬評通りに、自民党の圧勝、民主党の歴史的な惨敗となった。
その結果、12月17日(月)のオセアニア市場では、米ドル/円は、先週末(12月14日)のニューヨーク・クローズ(83円台ミドル)から大きく値を飛ばし、いわゆる「窓」を空けて、84円台前半で取引が始まった。
(出所:米国FXCM)
民主党政権から自民党を中心とする政権に交代すれば、さらなる金融緩和が行われるという期待感(思惑)から、円安が進んだ。
11月14日(水)の衆院解散の決定以降、政権が交代すれば日銀に対する追加緩和圧力が増す、といった思惑が働き、「円安傾向」が鮮明だった。
衆院解散の決定(11月14日)の時点で、米ドル/円の水準は79円台ミドル程度だったのだから、衆院選の結果で「約5円の米ドル高・円安」となったわけだ。
■ターゲットの84円台前半を達成したので「利食い」を
追って、日足チャートのところで今回のターゲット水準について説明するが、今回の目先のターゲットは、84円台前半程度と考える。
よって、これで完璧に「ターゲット達成」となった。
下値で米ドル/円の「買いポジション」を持っている場合は、「利食い」を敢行し、スクエア(ポジションなし)にするべきところと考える。
蛇足ながら、12月16日(日)の衆院選挙の結果で、12月17日(月)に米ドル/円がもう一段上昇する可能性は高い、と考えていた。
実際に、想定どおりの値動きだった、と考える。
しかし、現在はすでに「クリスマス相場」の真っ最中である。
今年の年内の相場は、来年のためによく見るだけで良い、と考えている。
相場に言う「頭と尻尾はくれてやれ」ということだ。
衆院選挙後の値動きだが、衆院選挙の結果で米ドル/円が、もう一段上昇する場合でも、上昇が大きく続くのではなく、選挙の結果を織り込んだならば、調整(修正)局面に転換するだろう、と考えている。
今日(12月19日)の時点では、まだ衆院選挙の結果を織り込んでいる最中だ、と感じている。
それではいつものように、月足、週足、日足と、チャートを分析していこう。
■中長期のトレンドでは買いシグナルが点灯!
まず、月足チャートで中長期のトレンドを確認していただきたい。
2007年6月の高値124円台から始まった、米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン(一番右の緑の破線)を今年(2012年)の2月に上に抜けたことが読み取れる。
換言すれば、この「一番右の緑の破線」を中長期のレジスタンス・ラインととらえるならば、トレンドが下落トレンドから上昇トレンドに転換した、と言える。
(出所:米国FXCM)
ところが、米ドル/円は今年(2012年)の3月以降下落に転じ、絶対水準で80.00円を割り込み、70円台で推移したことから、円高傾向の印象が強い状態となった。
そして、米ドル/円が安値75.32円を下に抜けると、つまり新値を更新する(歴史的最安値を更新する)と、「円高トレンド」が継続している、と判断すべき状態だった。
現時点でまだ断定はできないが、今回の安値75.32円(歴史的最安値)を下に抜ける(更新する)可能性はかなり低くなった、と考えている。
ただ、留意すべき点は「米ドル/円が、現時点での高値程度(つまり、84円程度)、ないしは高値85~86円程度をつけて、それから下落に転じる場合は、中長期のレジスタンス・ラインの傾きが、緩やかになるだけで、下落トレンドから、上昇トレンドに転換しないケースもあり得る」ということである。
下のチャートには、新たな中長期のレジスタンスライン「ピンクの破線」を加筆している。
(出所:米国FXCM)
個人的には「このライン(ピンクの破線)は、時間が経過するとなくなる(引く必要がなくなる)のではないか?」と考えているが、現時点でもまだはっきりしないので、描かないことも恣意的にすぎると考え、表示している。
米ドル/円が、今回の安値75.32円を下に抜ける、つまり新値を更新する(歴史的最安値を更新する)場合は、今回の高値に合わせた、もう一段傾きを緩やかにした新たなレジスタンス・ラインを引く必要がある。
ただし、この「ピンクの破線」を上に抜ける場合は、「買いシグナル」である。
月足チャートで見ると、11月14日(水)以降の値動きで「明確に」上に抜けた、と言い切れる状況になった。
つまり、チャート・ポイントだった80円台ミドルを「明確に」上に抜けて、「買いシグナル」を発したと考える。
続いて、週足チャートを…
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