■スプレッド拡大の動きが広がりつつある?
FXのスプレッドといえば、縮小するもの…と相場は決まっていたが、ここへ来て、スプレッド拡大の動きが少し出てきている。
口火を切ったのは、インヴァスト証券の店頭FX[FX24]。2013年2月14日(木)から、米ドル/円0.8銭原則固定を1.0銭原則固定、ユーロ/円1.4銭原則固定を1.6銭原則固定にするなど、取扱い全12通貨ペアのスプレッドを0.2pipsずつ拡大したのだ。
【参考記事】
●インヴァスト証券[FX24]で逆行現象? まさかの全通貨ペアスプレッド拡大!?
インヴァスト証券はスプレッド拡大について、「インターバンク市場のボラティリティー(変動率)の上昇」がその理由と発表していた。
FX業界ではサービス変更やキャンペーン内容が連鎖することがある。1社が何かやると、それに追随する会社が出てくることが結構あるのだ。
スプレッド拡大の動きが広がらなければいいが…と思っていたところ、追随するFX会社が出てきてしまった。3月11日(月)からFXプライムがユーロ/円のスプレッドを0.9銭原則固定から1.1銭原則固定に拡大したのだ。

FXプライムが発表したスプレッド拡大の理由は「インターバンク市場のボラティリティー(価格変動率)の上昇」。理由もインヴァスト証券と同じだった。
ただし、FXプライムの対象通貨はユーロ/円のみだ。
■インターバンク市場でユーロ/円のスプレッドが拡大
FXプライムの関係者にスプレッド拡大について話を聞いてみると、次のようないきさつがあったようだ。
「ユーロ/円はインターバンク市場でのスプレッドが拡大しており、2013年2月は特にそれが際立っていました。そのため、当社でもスプレッドを拡大せざるを得ませんでした。
特に当社のように、必ず約定するレートを提示するやり方をしていると、インターバンク市場のスプレッドが拡大したとき、厳しい状況になってしまうのです」
FX会社は大なり小なり、顧客から受けた注文をインターバンク市場(銀行間取引市場)へ流すことになるが、ユーロ/円については、そのインターバンク市場のスプレッドが特に拡大していたようなのだ。
「インターバンク市場のボラティリティーの上昇」という公式発表は、どうも「インターバンク市場のスプレッドの拡大」という意味に受け取って良さそうなのである。
■すべらないのに狭いスプレッドを維持するのは大変
為替レートは常に変動している。その意味で、自分が発注した瞬間のレートと実際に約定したレートが微妙に異なることは本来あっても不思議ないことだと言える。その現象は「スリッページ」とか「すべる」といった言葉で表現されている。
【参考記事】
●あなたは経験したことがありますか? 怪しいスリッページやレートずらしを…
そして、FXトレーダーの間では、「この会社はよくすべるんじゃないか」、「この会社はあまりすべらないんじゃないか」といった情報が交換されたりしている。
その実態を厳密に完全解明することはなかなか難しいのだが、そんな中、FXプライムはすべらないことで定評のあるFX会社の1つだった。
【参考記事】
●約定率100%でスリッページも発生しない! FXプライムで最大8000円のチャンスも!
FX会社の中にはスリッページの許容幅をユーザーが設定できるようにしているところもある。「○pips以上すべったら、約定しない」というように設定することができるのだ。
しかし、FXプライムは原則として、提示したレートで必ず約定させることをポリシーとしているので、取引画面にはこのようなスリッページ許容幅のボタンは用意されていない。
そして、そんな「提示したレートで必ず約定させる」タイプのFX会社にとって、最近の相場環境でスプレッドを狭く維持することはなかなか厳しい状況になっていたようなのだ。
このようなFX会社は顧客から受けた注文をすべらせることができないため、インターバンク市場でスプレッドが拡大すると、その影響をモロに受けてしまうのである。
■またもう1社、スプレッドを拡大させたFX会社が…
それを証明するかのように、提示したレートで必ず約定させることで定評のある、もう1つのFX会社もスプレッド拡大をその後、発表したのだった。
【参考記事】
●雇用統計でもマネパはスプレッドの開きが小さい! 最大100万円ゲットのチャンスも!
マネーパートナーズは同社の奥山社長に取材した下記記事のとおり、注文を必ず約定させることをポリシーとしている。
【参考記事】
●マネーパートナーズ・奥山社長に聞く(3) 狭いスプレッドはどこかにトリックがある
●マネーパートナーズ・奥山社長に聞く(4) 「即約定」の秘密はどこにあるのか?
実際、同社の取引画面にもスリッページ許容幅を設定する項目は見当たらない。
そのマネーパートナーズ[パートナーズFX]が下表のとおり、4月1日(月)から7通貨ペアのスプレッドを変更した。このうち、6通貨ペアはスプレッドを縮小させている。特に英ポンド/円は3.5銭原則固定から1.9銭原則固定、英ポンド/米ドルは4.8pipsから1.9pipsへ縮小されているから、かなり大幅な縮小だ。

しかし、ユーロ/円のスプレッドは0.9銭原則固定から1.1銭原則固定へスプレッド拡大となってしまったのだ。FXプライムに続き、またしてもユーロ/円。拡大幅もFXプライムと同じになっている。
やはり、「提示したレートで必ず約定させる」タイプのFX会社に昨今のスプレッド競争と今の相場環境は特にユーロ/円では厳しいものなのかもしれない。
ただ、マネーパートナーズ[パートナーズFX]は…
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