■ここまでの「テーパリング」を巡る動き
FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、量的緩和策による国債などの毎月の購入額を徐々に減額して、最終的に購入額をゼロにすることを「テーパリング」と呼んだ。
そして、5月の議会証言で、バーナンキ議長が早い段階での量的緩和の縮小開始に言及以降、FRBは様々な形での「対話」を通じて、マーケットに対し、テーパリング(量的緩和の縮小)の9月スタートを示唆してきた。
ところが、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、何のアナウンスもないままにテーパリング(縮小開始)の延期を決定。
時間が経過すると、外部から見て原因と思われる出来事が出てきた。
2014年度予算と債務上限引き上げ問題で与野党が揉めていたこと、オバマ大統領がレイムダック化して指導力を失っていたこと、サマーズ氏のFRB議長候補辞退……などなど。
マーケットは、FRBに不信感を抱きながらも、とりあえず延期の原因に納得して、「年内は無理ではないか」という見方を強めた。
■2014年は「波乱の年明け」になりそう
それでは2014年1月になるのか、3月まで延期されるのか?
1月は暫定予算が期限を迎え、バーナンキ議長が任期満了となり、2月はイエレン氏が新議長に就任、米国政治の世界では債務上限問題で再び一悶着あるかもしれず、判断が難しい状況だ。
どちらにせよ、波乱の年明けになることは間違いなさそうだ。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
3月説の方が実現性が高い、という意見が大きくなっていく中で、今月上旬(11月8日)に、10月分の雇用統計が発表された。
非農業部門雇用者数(NFP)が前月比20万4000人増となり、予想の12万5000人を大きく上回った。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
これにより、12月6日(金)に発表される11月分の雇用統計次第では、12月17日(火)、18日(水)のFOMCで、早ければ年内のテーパリングが決まるのではないかという見方も出てきた。
ここで大切なことは、FOMCのメンバーもマーケットの参加者も、右往左往していることだ。
「12月のテーパリング開始」の思惑が強くなれば、それは、目先の「米ドル買い材料」となる。
逆に、「来年に延期される」といった思惑が強くなれば、それは、直接的な「米ドル売り材料」ではないけれども、「米ドル買いの意欲」が下がることを、しっかり認識する必要がある。
12月6日(金)の雇用統計の数字が良ければ…
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