■日足チャートで2012年秋以降の米ドル/円を分析
今回は、米ドル/円の分析を行なう。まず、日足チャートをご覧いただきたい。
米ドル/円は、2012年10月には、78円台、79円台にあったのだが、2012年11月14日(水)の「衆院解散の決定」を材料に、急上昇を始めた。
翌日の2012年11月15日(木)に、それまでの上限だった80円台ミドルを明確に上に抜けた。
「買いシグナル」を発した、と考える。
(出所:米国FXCM)
俯瞰して見ると、2012年11月の80円近辺から、2013年5月につけた高値103円台までは、サポート・ライン(1)「ピンクの破線」に従い上昇した、と言える。
上昇の過程では、高値更新の際に「買いシグナル」を発した、と考える。
まず、95.00円近辺で「買いシグナル」を発した。
そして、2013年4月4日(木)の日銀政策決定会合を受けて、米ドル/円は、激しく急騰し、翌日(4月5日)の東京市場では新高値を更新して、97円台を示現した。
「日銀の異次元の金融緩和策」を材料に新高値を更新したことで、「買いシグナル」を発した、と考える。
■2013年4月の日銀政策決定会合で急騰するも100円届かず
米ドル/円は、「日銀の異次元の金融緩和策」を材料に100.00円目前にまで急騰した。
しかしこの時点では、100.00円にタッチすることができずに、反転下落した。
この時の高値は、99.95円レベル(99.93円-99.98円レベル)だ。
この最初の100.00円トライの後、米ドル/円は、95円台後半にまで急落している。
100.00円の上抜けをもくろんで、米ドル/円を買い持ち(米ドル/円ロング)にした向きが、95円台後半への急落で損切りを余儀なくされた(損切りの米ドル売りに転じた)、と考える。
95円台後半をつけてから、米ドル/円は再び、反転急騰している。
(出所:米国FXCM)
G20(主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)で、日本の「異次元の金融緩和策」に対する批判は声明文に盛り込まれないだろう、といった思惑が広まったことで、「円売り」になったと考える。
実際に、事前の思惑どおりに、日本の金融緩和策が直接的に非難されることはなく、結論として、日本の「異次元の金融緩和策」はG20で黙認された、と考える。
G20明けの、4月22日(月)の米ドル/円は99円台後半まで上昇したのだが、高値は99.88円レベルで、4月中旬につけた高値99.95円に届くことができなかった。
つまり、新高値を更新することができず(なおかつ、高値更新ができなかったのだから当然だが)、100.00円にタッチすることができなかった。
そのため、G20の結果を受けて、目先で米ドル/円を買っていた向きの「損切りの米ドル売り」が断続的に出て、徐々に下落した。
ゴールデン・ウィーク直前のマーケットは、大局では、米ドル/円のトレンドは上昇だったが、目先で米ドル/円の買い持ち(米ドル/円のロング・ポジション)が積み上がっており、いったん、ポジション調整の下落が先行する状況だった、と考える。
ゴールデン・ウィーク前半は、実際に、ポジション調整の下落が先行したが、ゴールデン・ウィークの最中に、NYダウが1万5000ドルを越えて高値を更新したこと、米国雇用統計が事前予想よりも良かったことなどを材料に、米ドル/円は上昇に転じた、と考える。
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