■テーパリング(量的緩和策の縮小)が決定
12月18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、テーパリング(量的緩和策の縮小)が決まった。
FRBが債券購入額を毎月850億ドルから750億ドルに縮小する方針が示された。
12月のテーパリング実施に関しては、市場参加者の事前予想は「五分五分」だった、と考える。
12月に発表された雇用統計には改善傾向が見られ、各種経済指標も全体として良好と言えるが、しかし、それをもって12月のFOMCで「実施が決まる」とは、断言できない状況だったからだ。
だから、このニュースは「織り込み済み」にはならず、テーパリング実施が発表された直後のマーケットは大いに反応した。
外国為替市場は、ストレートに「米ドル買い」に反応した。
しかし、米ドル/円は、「米ドル買い・円売り」気配が持続したのだが、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは、発表直後に「ユーロ売り・米ドル買い」、「豪ドル売り・米ドル買い」に反応したものの、強烈に反転した。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
つまり、ユーロ/米ドルは発表直後に急落したのだが、そこから強烈に反発上昇した。
同様に、豪ドル/米ドルも、発表直後に急落したのだが、そこから強烈に反発上昇した。
テーパリング実施の発表から1時間を過ぎて、マーケットに落ち着きが出てくると、改めて「米ドル買い」が勝るようになった。
FOMC声明では、少なくとも失業率が6.5%を上回り、今後1-2年のインフレ率が2.5%を上回らないと予想する限り、FF金利(米国の政策金利)の誘導目標を0-0.25%で維持するとし、超低金利政策の維持を表明している。
しかし、一方で、「労働市場の改善とインフレ見通しが長期目標へ向かえば、さらなる縮小の可能性」があることも示唆している。
■テーパリング実施を市場はまだ十分に織り込んでいない
テーパリング実施が決まったことで、金融政策が180度転換されて、市場に潤沢に供給されていた資金の蛇口が絞られることになるので、マーケットは米ドル買い、新興国通貨売り、株売り、商品売りの方向へ動く、と考えていた。
さりとてNYダウが「大暴落」する可能性はかなり低いと考えていたが、テーパリング実施を受けても米国株は大きく上昇した。

(出所:米国FXCM)
2013年内のマーケットは、「テーパリング実施という材料」を、まだ、十分に織り込んだとは言えない状況と考える。
しかし、テーパリング実施が発表されたので、これで年内のビッグ・イベントはすべて終了したことになる。
年内はクリスマス相場で、本格的な売買は2014年に持ち越す状況と考える。
■2013年内は休み、まず、年明け2、3日の相場に注目を
2014年1月から量的緩和の縮小に着手する――FOMCの結論が出た。
これで、マーケットが注目していた2013年内のビッグ・イベントがすべて終わったが、今年は特殊な年だった。
例年ならば、サンクスギビングデー(感謝祭)を境に、市場参加者が三々五々クリスマス休暇に入り、12月中旬の相場は、デッドな状態(=市場参加者がおらず、閑散とした状態)のはずだ。
しかし、今年は12月17日(火)、18日(水)のFOMCに注目が集まったため、市場参加者は休みたくても休めずにいた。
そして、結論が出た12月18日(水)の相場は大きく動いたが、長くは続かなかった。
FOMCの発表が終わると、すぐに、外国為替市場の参加者たちは、クリスマスを楽しむための休暇に入った、と考える。
日本の株式市場は、大納会に向けて盛り上がる傾向が強いので、FX投資家も「休んではいられない」という気持になるのはよくわかるのだが、外国為替市場の中心は、東京市場ではないことをよくよく認識して、ここはやはり「世界の慣行」にしたがって、休むところなのだろう、と考えている。
なお、年明けは日本の感覚では1月6日(月)…
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