■英国は2017年まで3カ月ごとに利上げ!?
そして、次にロンドン在住のトレーダー、松崎美子さんが登壇。
松崎さんは、ロンドン在住で、現在は個人トレーダーとして活動している。また、FX会社のセミナーなど各種メディアでも活躍されているので、ご存知の方も多いのではないか。

松崎さんに聞くのは、ズバリ「英国の金融政策」。
西原さんによる通貨ペアの振り分けでは「買い通貨」に分類されていた英ポンドだが、これはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の利上げ観測がその背景にある。
松崎さんは、BOEのカーニー総裁の発言に日々注目しているのだが、最近のカーニー総裁は、発言するたびに内容に変化があるそうだ。これは、BOEの金融政策委員会(MPC)の中で政策金利の引き上げについて意見が分かれてきているためではないか、と松崎さんは推測していた。
その上で、BOEの今後の利上げについて、松崎さんは次のように語る。
「まず、英国の政策金利は上がります。2014年6月現在の英国の政策金利は0.5%ですが、カーニー総裁は2017年までに2.5%に引き上げるという内容の発言を実際にしています。
伝統的にBOEはインフレレポート(※)を公表するときに利上げをすることが多いため、今年、2014年11月のインフレレポートが出る時からカウントして、2016年12月まであと9回利上げをする機会があるということ。そうなると、カーニー総裁の目標とする2.5%に到達するには、ほぼ3カ月ごとに0.25%ずつ引き上げなければなりません。
しかし、実際に、このペースで利上げをしてしまうと、英国経済がもたないのではないかとも私は思ってしまいます」
(※編集部注:イングランド銀行のインフレレポートは通常、毎年2月・5月・8月・11月の上旬に公表される)

■イングランド銀行はどこまでの英ポンド高を許容するか?
そして、BOEは利上げを示唆して英ポンド高を容認しているが、これは、英国の住宅市場がバブルに近くなってきていることが背景にあるという。

英ポンド/米ドルが1.75ドルを超えて上昇するような局面でカーニー総裁やMPC理事がどのような口先介入をするかがポイントになるという
一方で、カーニー総裁は英ポンドが対米ドルで1.72ドル台に近づいたタイミングで「Pound is strong(英ポンドは強い)」と発言していることから、利上げはしても英ポンド高にはこれ以上したくないとの思いもあるのではないかとのこと。
松崎さんは「英ポンド/米ドルが1.75ドルを超えて上昇するような局面になった場合、カーニー総裁はじめMPC理事たちがどのような口先介入をしてくるのか?が彼らの英ポンド高許容度を測る物差しになるのではないか?」との見方を示していた。
さて、内容盛りだくさんで伝えきれていないこともあるが、以上が「FX友の会 in 東京2014」のダイジェスト。
ちなみに、講演時には、FX友の会世話人・奈那子さんの初の著書となる『奈那子流 FXで勝ち残る7つの法則 - 2000人のトレーダーとの出会いでわかった!』(自由国民社)が出版されることも紹介されていた。
また、講演のあとは参加者、講師を交えての懇親会が行われたが、例年にないほどの人の数で会場はぎっしり。さらに、女優の水希友香さんたちによるFXネタ、友の会ネタを絡めた寸劇もあり、参加者の笑いを誘っていた。
もちろん、毎回恒例となっている「カツアゲ企画」と称するプレゼント抽選会も健在。高級和牛など豪華賞品が盛りだくさんで、参加者は次々と商品をゲットしていた。ちなみに、記者は商品ゲットならず。日頃の行いのせいだろうか…。
興味のある方は、ぜひ次の機会に「FX友の会」に参加してみては。
(取材・文/ザイFX!編集部・庄司正高 撮影/和田佳久)
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