■月足の「高値圏での乱高下」が後々の下落を示唆
今回は豪ドル/米ドルの分析を行なう。まず、月足チャートからご覧いただきたい。
月足チャートを見ると、豪ドル/米ドルは一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」を割り込み、その時点で「売りシグナル」を発したと考える。
(出所:米国FXCM)
上のチャートでは、一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」の傾きを緩やかにして、実際の相場に合わせ調整している。
豪ドル/米ドルは高値圏で「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」を形成していたと考える。
そして、ボックス相場「紫の破線」の下限を割り込み、さらなる「売りシグナル」を発したと考える。「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」は、「高値圏での乱高下」と考えることができる。
「高値圏での乱高下」は、後々の下落を示唆するケースが多々ある。
このボックス相場「紫の破線」の下限を割り込んだことで、大きく下落する可能性を示唆していると考える。
■ボックス相場下抜け後も乱高下を続ける
豪ドル/米ドルは0.9400ドルを割り込み発せられた「売りシグナル」に従い、0.88ドル台にまで下落したが、0.88ドル台から急反発して、0.97ドル台にまでリバウンド(反転上昇)した。
(出所:米国FXCM)
2013年9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、米国の出口戦略(量的緩和策の縮小)が先送りされたこと、そして米議会が紛糾したこと(予算案と債務上限引き上げの2つの問題)を材料に、「米ドル売り(豪ドル買い)」に動いた、と考える。
2013年12月18日(水)のFOMCで「テーパリング(量的緩和策の縮小)実施」が発表された。
これを材料に豪ドルは再度大きく下落し、0.86ドル台の安値をつけている。しかし、0.86ドル台の安値から今度は大きく急騰し、高値は、0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)をつけている。
0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)の高値から、再び下落して、0.85ドル台の安値を再度示現した。
下の月足チャートに表示するが、豪ドル/米ドルは「上値0.9800ドル程度-下値0.85ドル台前半程度」のボックス相場を形成している、と考える。
(出所:米国FXCM)
■RBAは引き続き、金融緩和方向だと推測
RBA(オーストラリア準備銀行=豪中央銀行)は2013年8月に、政策金利を過去最低となる2.50%に引き下げたが、その後は、現在に至るまで政策金利を過去最低となる2.50%に据え置いている。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
しかし、RBAは、経済においてバランスのとれた成長を達成するために、豪ドル相場の下落を希望している旨、たびたびアナウンスしている。
RBAのこうしたスタンスは、今後も豪ドルの重しになる、と考える。
そして直近のRBAの声明でも、RBAのスタンスは上述のとおりであると確認できる、と考える。
つまり、RBAのスタンスは、引き続きまだ金融緩和な状態、と推量する。
マーケットには、「豪政策金利の2.50%は、(過去最低だから)すでに最下限にあり、これ以上に引き下げることはない」、「ゆえに、RBAが、次に取る行動は、政策金利引き上げに違いない」と、先読みする市場参加者もいるようだ。
これから先のマーケットを考察すれば、上述は、確かに正しいのかもしれない。その可能性も十分にある。
しかしながら、各国の金融政策を読み解く場合には、実際の行動(具体的な金融政策の変更、すなわち、利上げ・利下げ)を証拠とすべきだ。
豪政策金利は、2011年の4.75%から断続的に引き下げられて、現在の2.50%に至っている(最後の利下げは2013年8月で、それ以降2.50%が続いている)。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
だから、「RBAの次の行動は利上げである」と考える証拠は、まだない状況だ。
RBAのアナウンスをみても、利上げを示唆する内容はない、と考える。
そうこう思索すると、今の時点で、「RBAが次に取る行動は、政策金利引き上げだ」と判断することは間違っている、と考える。
各国の政策金利に関しては、それぞれの…
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