■【ECB】原油が為替市場のドライバーに
今週(12月1日~)は4日(火)にECB(欧州中央銀行)とBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の金融政策決定会合が開催されます。BOEはまったくの無風。ECBで注目されるのは国債買い入れを始めるかどうかですが、今回はナシでしょう。
ただ、ドラギさんは11月だけで3回も国債買い入れに言及しています。ドイツの反対や長期金利の低下懸念、合憲性と課題はありますが、2015年には実行する可能性が俄然高まってきました。「やるかどうか」よりも「いつやるか」に変わってきているのは間違いありません。
イベントも注目なのですが、今週(12月1日~)、為替市場を動かすドライバーとなりそうなのが原油安を初めとするコモディティ市場の下落。
OPEC(石油輸出国機構)が減産しなかったことで原油は急落、スイスの国民投票が否決されたことで金(ゴールド)も下落。鉄鉱石価格も下落し、大手ヘッジファンドであるブレバン・ハワードがコモディティファンドを閉鎖することも発表されました。

(出所:米国FXCM)

(出所:米国FXCM)
原油安は消費者の購買力を高めて実質的な減税効果がある一方、デフレ圧力になりますから、ユーロはますます緩和に追い込まれますし、産油国通貨であるロシアルーブルは急落しています。このままだとロシアのデフォルトすら懸念されそうですし、ロシア経済の停滞はユーロにも悪影響です。

(出所:CQG)
ユーロにポジティブな材料はなにひとつなく、ユーロ/米ドルは1.40ドルから1500pips以上も下落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
これだけ通貨安(ユーロ安)が進めば多くのドイツ企業も恩恵を受ける。ユーロ下落はマーケットのコンセンサスですが、売りポジションが積み上がっているため、引き続き戻り売りの方針です。

日程:12月4日(木)22時30分~
ポイント:国債買い入れへの言及、原油安による物価への影響
■【豪ドル売り】資源国通貨に下落余地
英王立国際問題研究所からは原油価格が40ドルまで下落余地があるとの見通しも出ているんですよね。

(出所:米国FXCM)
原油安なら資源国通貨である豪ドルや加ドルの売りですが、特に注目なのは豪ドル/米ドルの売り。
RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のロウ副総裁は0.86ドルの水準でも「豪ドルは高すぎる」と通貨安に誘導する発言をしていますし、オーストラリア経済の主力である鉄鉱石価格は下落、中国の需要も減退と売り材料には事欠きません。ここは素直に売りでいいのでしょう。
大手外銀も豪ドル/米ドルの売りを2015年の注目取引として取り上げており、ターゲットを0.78ドルとしています。

(出所:米国FXCM)

ポイント:下落トレンドの継続
(次ページでは米雇用統計と米ドル/円の見通しが…)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)