■どのFX会社からどんなお知らせが出ていたの?
この5つのパターンの情報が、いつ、どのFX会社から出されたのかを見てみましょう。以下の表をご覧ください。
5つのパターンに分類しづらかったものについては、「その他」としています。また、各パターン以外の要素や補足が必要と思われるものについては、一部パターン名称の下に追記しています。いずれも詳しくは、各社のウェブサイトでご確認ください。
※マーケット急変注意喚起系=注意喚起、スプレッド拡大・変更告知系=スプレッド拡大、臨時マーケット情報提供系=マーケット情報、財務健全性アピール系=財務健全性、ルール変更告知系=ルール変更
表を見ると、「マーケット急変注意喚起系」は、やはりスイスショック同日、もしくは翌日には、ほとんどのFX会社が実施しています。また、アルパリ(UK) Limitedの破綻が伝わった1月16日(金)の翌日からは、「財務健全性アピール系」の告知が増加しているのがわかりますね。
このほか、個別でいくつか注目しておきたいお知らせがありましたので、以下に紹介していきます。
■YJFX!では、キャンペーン対象通貨ペアから除外
まずは、YJFX!の「スプレッド拡大・変更告知系」。以前当コーナーでもお伝えしたとおり、現在、YJFX![外貨ex]では、スプレッド縮小キャンペーンを実施中。スイスフラン絡みの通貨ペア、英ポンド/スイスフランもスプレッド縮小キャンペーンの対象通貨ペアに入っていました。
【参考記事】
●ドル/円スプレッド0.3銭原則固定に再縮小。ドル/円はまだ8割以上ロングポジション!
ところが、スイスショックを受けて2015年1月16日(金)には、「スプレッドの拡大やレート配信の一時停止等、不安定な状況が継続する可能性」があるから、ということで、残念ながら除外されてしまいました…。
スプレッド縮小キャンペーン自体は、2月27日(金)まで実施されますので、また復活する可能性もあるかも? YJFX!からの新たな発表を待ちたいところです。
■スイスショックの背景がまとまった特別レポート
スイスショックは緊急事態だっただけに、どちらかというと積極的なサービスよりも、注意喚起やスプレッド拡大の告知が多かったなかで、異彩を放ったのがSBI FXトレードです。
1月19日(月)には、スイスショックの背景などをまとめた特別レポート、「スイス銀、防衛ライン徹底の背景と影響」をウェブサイト上に公開しました。
臨時マーケット情報提供という点では、セントラル短資FXも1月19日(月)に「スイス中央銀行総裁のインタビューについて」というタイトルで、スイス紙に掲載されたSNB総裁のインタビュー記事を要約したものを公開していますよ。
■スイスショックの際の価格配信と約定状況を公開
ここまでなら異彩とまではいかない感じがしますが、SBI FXトレードではマーケット情報の提供だけに留まらず、1月22日(木)には、スイスフラン変動時のスイスフラン/円の価格配信と約定状況を公開しています。


これは、スイスショックが起きた1月15日(木)の18時30分~19時30分頃のデータだそうです。
この時間帯、多くのFX会社でスイスフラン絡みの通貨ペアの取引レートがなくなり、一時取引停止などの事態が発生していたなか、SBI FXトレードの発表を見ると、配信レートは止まることなく提示されていた様子。約定率についても、おおむね60%前後で推移しており、100%を達成した時間帯もあるようです。
SBI FXトレードではユーザーがトレード時に許容スリッページを設定することができ、それを超える相場変動があった場合には約定しないしくみになっています。各ユーザーが設定した許容スリッページ幅はまちまちと思われますが、今回のスイスショック時にはそれを大幅に超える相場変動があったことが容易に想像できます。
そんな厳しい状況の中にあって、「約定率がおおむね60%前後、100%を達成した時間帯もある」というのは、かなり立派な実績なのではないでしょうか。
SBIFXトレードは、「他社がスプレッドを拡げてくるようなマーケット状況にあっても、可能な限り、通常スプレッドを維持し、安定したプライスを提供します」という「プライス・ポリシー」を掲げており、今回の価格配信と約定状況公開もこのポリシーに基づいて行われたそう。
以前、以下の【参考記事】でスイスショックの際、「ストップロス注文を入れていた位置よりもかなり下のレートで約定した例が結構あるようだ」とお伝えしましたが、取材先のインターバンクディーラーさんによると、「FX会社はカバー先によって、状況がだいぶ違っていた可能性があるのではないでしょうか」ということでした。
【参考記事】
●プライスが消えた…。現役インターバンクディーラーが語ったスイスショックの瞬間
断定的なことは言えませんが、マーケットを大きく動かす事件が起こった際、レートの配信状況は、各FX会社のカバー先によって大きく左右される可能性があるのかも…。
何はともあれ、注意喚起も大切ですが、SBI FXトレードやセントラル短資FXのようにマーケット情報や実際の約定状況などもあわせて公開してくれると、整理された情報で素早くマーケット状況を把握できたり、レートの配信状況がわかり、今後の変動に備えたりすることができるので助かります。
スイスショックのような大きな変動はそう起きることはありませんが、もしもの時も安心してトレードができるFX会社を選びたいところですね。
このほか、目立ったのは…
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