■【QE】ECBの大規模緩和が今週(3月9日)開始
これといった核となるイベントはない1週間ですが、注目されるのはいよいよ始まったECB(欧州中央銀行)のQE(量的金融緩和策)。早速、ドイツやイタリアなどが自国の10年債を買い入れているようです。
2013年4月、日本がQEを始めた直後には国債市場が乱高下する場面がありました。ヨーロッパの債券市場がどうなるのか、まずは行方を見たい。
10年債の金利を比べると、アメリカが2.2%、日本が0.4%、ドイツが0.35%程度。米国債が非常に魅力的に見える水準です。
【参考記事】
●ついにマイナス金利の住宅ローンが登場!? 金利正常化に向かう米ドルは一人勝ち!(3月5日、西原宏一)

(出所:CQGのデータより、ザイFX!編集部が作成)
ECBのQE開始でドイツの金利は低下し、米独金利差はさらに広がっていくのでしょう。

(出所:CQGのデータより、ザイFX!編集部が作成)
ECBの理事が3月10日(火)から12日(木)まで相次いで講演します。QEについての発言があるようだと波乱要因になりそう。

10日(火)プラート、メルシュ、クーレ各専務理事が講演
11日(水) ドラギECB総裁の講演およびプラート専務理事、リーカネン・フィンランド中銀総裁 ノボトニー・オーストリア中銀総裁らによるディスカッション
12日(木) クーレ専務理事の講演
ポイント:QEについての言及
■【Grexit】口の軽すぎる財務相がまたも問題発言
早くも再燃したのがギリシャ支援問題。ギリシャのバルファキス財務相が「国民投票か、解散総選挙か」と口にして、メディアでは 「Grexit」(ギリシャのEU離脱)の文字が飛び交いました。この人はツイッター(@yanisvaroufakis)でもちょっとした記事に反応し てツイートするし、閣僚にしては口が軽すぎ。
3月9日(月)のユーロ圏財務相会合では、ギリシャ支援延長で約束した改革案の詳細を詰めるため、「インスティチューションズ」(旧トロイカ=ECB、EU、IMF)が3月11日(水)にギリシャ入りすることが決定したようです。
ギリシャの国庫には3週間分の資金しか残っていないとウワサされていて、「ギリシャが約束どおり緊縮財政に取り組まない限り、残りの支援金は受け取れない」とユーログループ議長は警告しています。
結局、ギリシャが言っているのは「緊縮財政は嫌だ、でもEU(欧州連合)は抜けたくない」の一点張り。同じことを繰り返しながら、ユーロ/米ドルはズルズルと落ちていくのでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ユーロは今、何をどう考えても買えないですね。
ECBのQEで欧州の株式市場は堅調ですが、これもユーロ売り材料。ヘッジファンドはDAX指数(ドイツの株価指数)を買ったら、為替リスクをヘッジするため、ユーロ/米ドルを売ります。つまり、DAX指数が上がれば、ユーロ/米ドルは下げやすくなる。

(出所:米国FXCM)
これは日本も同じで、日経平均が強ければヘッジで米ドル/円の買いが出ます。足もとでは株と為替の相関性が薄れているように見えますが、それは1米ドル=120円以上のレベルでは米当局の米ドル高懸念が警戒され、投資家がヘッジを控えたため。
【参考記事】
●金融緩和競争を米国が静観する理由は? ドル/円は底固めから122円へ向け上昇か(2月5日、西原宏一)
ただ、先週(3月2日~)からヘッジの円売りが入り始めていますし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に続いて3共済(国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済)、ゆうちょ銀行も控えている。日本株も米ドル/円もしっかり下支えされるのでしょう。

(出所:米国FXCM)

開催:3月11日(水)
ポイント:ギリシャ支援問題についての協議再開
(次ページでは世界的な金融緩和の中でのNZドルや豪ドルの話題が…)
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【参考記事】
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