■【ペイシェント】FOMC後にユーロは1.02ドルを目指すか
今週(3月16日~)の注目は、まず18日(水)深夜開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)。ポイントはふたつあります。
ひとつは声明文から「ペイシェント(patient、忍耐強く)」の文字がなくなるかどうか。これがなくなっても、FRB(米連邦準備制度理事会)による6月の利上げが確実になるわけではありませんが、早期利上げ期待が高まり、米ドル高要因となります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
米雇用統計がいい数字だったこともあり、「ペイシェント」が取れるだろうというのがコンセンサスですが、先週発表された米経済指標がパッとしない数字だったこともあり、残る可能性もわずかながらあります。
「ペイシェント」が外れれば、ユーロ/米ドルは1.02ドル方向に向かって下落、残るのであれば当面、1.05ドルから1.08ドルのレンジかなと思います。「ペイシェント」を取ってしまうと、6月利上げが既定路線となり、米ドル高が加速することへの懸念もイエレン(FRB議長)さんにはあるのかもしれませんね。

(出所:米国FXCM)
その意味でも注目されるのが、ふたつめのポイントであるイエレンさんの記者会見。「これ以上の米ドル高は困る」とは言わないでしょうが、今回のFOMCでは3カ月に一度更新される、経済見通しも発表されますから、記者会見での発言は「ペイシェント」以上に要注意かもしれません。

開催:3月18日(水)27時(声明文発表)、27時30分(記者会見)
ポイント:声明文に「ペイシェント」の単語を残すかどうか
■【波乱要因】プーチンは11日間の雲隠れ
ユーロ圏では3月19日(木)から20日(金)にかけて、EU首脳会議(EUサミット)が開催されます。もちろん、ギリシャの首相であるチプラスさんも参加。
今回のテーマはロシアへの経済制裁やウクライナ情勢、それにロシアに大きく依存しているエネルギー対策などですが、「予定にはありませんが、ギリシャ支援問題についても話し合いました」ということになる可能性もあります。
ギリシャはさておき、金融政策の方向性からしても、ユーロは下落なのでしょう。
ゴールドマンサックスはユーロ/米ドルの見通しを下方修正しました。3カ月後(6月)に1.02ドル、半年後(9月)にパリティ(1ユーロ=1米ドル)の1.0ドル、1年後(2016年3月)に0.95ドルで、2017年は0.8ドル。
ゴールドマンサックスはユーロの予測に関して昨年(2014年)から当てていますから、市場の注目が集まっています。
ユーロは引き続き売り目線ですね。ただ、波乱材料になるかもしれないのが、今回のEU首脳会議の命題のひとつでもあるロシア。
恋人の妊娠、整形手術、あるいは執務室にこもっていたなど、さまざまなウワサが流れましたが、プーチンさんが11日間も雲隠れしていたというのは異例の事態です。

開催:3月19日(木)、20日(金)
ポイント:ギリシャ支援問題について話し合うかどうか
(次ページではSNBの金融政策とスイスフランの話題が…)
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