※今週は松崎美子さんがお休みとなります。
■【円安】強い雇用統計で126円手前まで上昇
――先週、6月5日(金)の米雇用統計は予想以上に強い数字で、米ドル/円では125.85円まで米ドル高が進みました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
好調だった米雇用統計を受けて、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による9月利上げへの期待が高まっています。
ただ、矛盾するようですが、米国の経済指標が良ければ良いほど、「米ドル安・円高」に気をつけないといけない面がありますね。

(出所:米国FXCM)
──米国の経済指標が良ければ、米ドル高になるのが自然と思えますが、逆に米ドル安に気をつける必要があるというのは、なぜなのでしょうか?
日本は日銀の異次元緩和に「くじら」(外貨への資産シフトを進める年金基金などの公的・準公的資金)、ユーロ圏ではECB(欧州中央銀行)によるQE(量的緩和策)と、米ドル高の要因が重なっている上に、さらに米国の9月利上げの材料が重なると、放っておけば、米ドル高が加速する可能性が高い。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
2015年5月下旬から、米ドル/円はすでに6円以上の米ドル高・円安になっています。日銀による異次元緩和並みのスピードで円安が進んでしまっているので、日本でも米ドルを買えていない投資家が多い。
【参考記事】
●125円に急接近のドル/円は128円も視野に!なぜ、ドル高・円安は突然加速したのか?(5月28日、西原宏一)
このスピードだと、2015年夏までに米ドル/円は130円に達してしまいます。「125円水準はOKだけど、スピードが早すぎる」というのが、日本の金融当局の思惑では。

(出所:米国FXCM)
アメリカとしても、行き過ぎた米ドル高は避けたいでしょうから、日米金融当局の思惑は一致します。2004年にアメリカが利上げを決意したときには、3カ月前から地ならし的な米ドル高けん制発言が米金融当局から出ていました。
2015年9月にFRBが利上げを開始するなら、もう3カ月を切っていますから、米ドル高に対するけん制発言に注意が必要です。
だから、米国の経済指標が良ければ良いほど、「米ドル安・円高」に気をつけなければならないというわけです。
(次ページでは米国やユーロ圏の注目ポイントについての話題が…)
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