■【英ポンド売り】スコットランド独立国民投票の1000倍?!
私が注目しているのが英ポンド売り。「Brexit(イギリスのEU離脱)」を問う国民投票は2016年6月16日(木)実施の可能性が高まってきました。
2014年のスコットランド独立を巡る国民投票前には英ポンドが大きく売られましたが、Brexitの重要度は100倍、1000倍。スコットランドであれだけ動くのなら、今回の国民投票でも英ポンドが動かないわけがありません。
【参考記事】
●スコットランド独立の可能性が急浮上!経済への影響は? ポンドは暴落するか?
英ポンドに対するベア(弱気)な見方は増えていますね。モルガンスタンレーの2016年推奨トレードも英ポンド/円の売り。
週足チャートを見ても、アベノミクス円安が始まってからサポートとなっていた一目均衡表の雲を割り込んで、75週移動平均線もブレイク。下落余地が拡大しています。美子さんのターゲットは?

(出所:CQG)
英ポンド/円は173.30円くらいをターゲットと見ています。ユーロ/英ポンドとユーロ/円の200月移動平均線水準を割り算したレベルです。

(出所:CQG)
英ポンド/円のようなクロス円は、対米ドル、あるいは対ユーロでの割り算なので動き始めると一気に動くことも多い。170円割れも期待したいですね。
究極のターゲットとしては160.64円まで見ています。ただ、英ポンド売りの相手通貨としては、米ドルもおもしろそう。
米大統領選挙がネガティブ要因ですが、ユーロや英ポンドに比べれば不透明感はそう高くありません。アメリカの利上げ路線は継続するのでしょうから、英ポンド/米ドルは1.40ドルから1.55ドルくらいのレンジで見ています。

(出所:CQG)

ファンダメンタルズ要因:2016年6月とされる英国民投票に向けた不透明感の高まり
テクニカル要因:75週移動平均線と週足・一目均衡表の雲を下抜けし下落余地拡大
■【ユーロ】原油相場が戻らないとユーロも期待できず…
ユーロについては英ポンドほど弱気なわけではありませんが、米ドルは利上げ路線ですからユーロ/米ドルの戻り売り路線は継続でしょうね。

(出所:CQG)
ただ気になるのは原油価格。2016年の原油価格が40ドル台で推移してくれるのであればインフレ率が下げ止まってくれるでしょうが、20ドル台へと急落するようだと世界的に低インフレ、デフレのリスクが台頭してきます。

(出所:CQG)
原油は読みにくいですね。強いていえば、乱高下するのかなというイメージ。原油などのコモディティ相場が戻らないとオセアニア通貨も厳しいでしょうし、ユーロにもあまり期待していません。
【参考記事】
●米国が約9年半ぶりに利上げを実施! でも、なぜ米ドルは急騰しなかったのか?(12月17日、西原宏一)
ユーロ/米ドルは1.05ドルを2度トライして抜けきらず、下に売りポジションも溜まっているでしょうから、ちょっとしんどい…。かといってマイナス金利のユーロが大きく反発する気もしない。1.05ドルから1.15ドルくらいでのレンジなんでしょうかね。

(出所:CQG)
まとめるとユーロは相変わらず弱い、オセアニア通貨も厳しく、米ドルは今までよりペースは穏やかになるかもしれませんが買われる。
一方で、2015年に強かった英ポンドが弱くなり、2015年まで売られていた円は買われそう。そうなると英ポンド/円の売りですね。
【参考記事】
●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!?英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(12月24日、西原宏一)
(構成/ミドルマン・高城泰 イラスト/スージー甘金)
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