■【中央銀行】市場のコントロールが効かなくなっている
2月15日(月)に発表された日本のGDPも2四半期ぶりのマイナスと残念な数字。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国のGDP成長率の推移)
アベノミクスの先行きが暗くなってきた印象です。
先週、2月10日(水)、11日(木)のFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長の議会証言はかなり市場に気を使った言葉を選んでいましたし、市場では2016年年内の追加利上げが困難であることをかなり織り込んできています。
それなのに株価は思ったほど戻していないのが苦しいところ…。
2月18日(木)早朝発表の議事録とともに、今週(2月15日~)はFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの講演も連日のように続くので、金利見通しについてイエレンさんとの温度差を感じさせるような発言が出ると株価がまた乱高下しそう…。

(出所:CQG)
米ドル/円の戻しが厳しいのは、長く続いた米ドル高で米国企業の収益が悪化してきていることもあります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日銀の円売り・米ドル買いの介入がウワサされていますが、この状況では日銀単独ならともかく、協調介入は難しい。
ジム・ロジャーズが3月株価暴落説を唱えるなど、中央銀行による市場のコントロールが効かなくなっているとの指摘が増えてきていることも非常に気がかりです。

株安に対しては、2月26日(金)~27日(土)に上海で開催されるG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)で何らかの政策協調を打ち出してくるのでしょうが、どれだけ有効な対策を打てるのか。効果的な政策が出てこないと、もう一段崩される可能性が高い。
■【1万5370ドル】リスクオフへの警戒
日本ではあまり報道されていないのでしょうが、ヨーロッパの難民問題も続いています。
先週(2月8日~)、話題になったのはトルコのエルドアン大統領による暴言。いわく、「トルコにいる数百万人の難民をヨーロッパへ送り込むこともできる」と。
この難民問題については、2月18日(木)~19日(金)に開催されるEU(欧州連合)首脳会議で話し合われる予定です。
ただ、ここでの最重要トピックと考えているのは英国民投票のゆくえ。おそらく、ここでEU離脱を問う国民投票の日程が決まります。最有力なのは6月23日(木)。
個別のファンダメンタルズも注目ではありますが、やはり、注目はリスクオン/リスクオフの見極め。
1月末はECB、FRB、日銀と中央銀行が動いたあとの間隙をついてヘッジファンドが仕掛けてきました。
ところが円や日本株がここまで崩されたのに、他の市場への影響が限定的なのは、本丸であるNYダウがしぶといため。
先週(2月8日~)もザラ場では200週移動平均線を割り込んだものの、チャイナショック安値である1万5370ドルは死守しています。

(出所:CQG)
ヘッジファンドが仕掛けたゲームはひとつ終わったのでしょうし、米ドル/円は2週間で10円以上落ちていることもあり調整も必要でしょうが、NYダウが下げるようなら本格的なリスクオフになる。米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたいですね。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

開催:2月18日(木)、19日(金)
ポイント:英国民投票の日程が決まるのか
(構成/ミドルマン・高城泰 イラスト/スージー甘金 撮影/和田佳久)
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