■直近のユーロ/米ドルはウェッジを形成
サポート・ライン(2)「赤の破線」を加筆した。
(出所:ヒロセ通商)
直近のユーロ/米ドルは、レジスタンス・ライン「青の破線」とサポート・ライン(2)「赤の破線」で、再び、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した、と考える。
この「三角保ち合い(ウェッジ)」を下に抜けて、「売りシグナル」を発した、と考える。
「三角保ち合い(ウェッジ)」は、抜けた方につくのがセオリーだ。
■ドラギ総裁はユーロ下落を望んでいる
最後に4時間足チャートの分析を行なう。
昨年(2015年)の12月15日(火)、16日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、米国は利上げの開始を発表した。
このFOMCの前後で、ユーロ/米ドルは、「紫の破線」で示したボックス相場を形成した、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
米国の利上げ開始は、基本的に、「ユーロ売り・米ドル買いの材料」と考える。
年初(1月4日)の値動きで、1.0800ドルを割り込み、1.07ドル台をつけている。この値動きで、ボックス相場「紫の破線」の下限を、割り込んだ。
年初(1月4日)に、安値を改めて更新して、「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」に従い、1.0700ドル近辺まで下落したが、1.07ドル台からは、反発上昇している。
それで、ユーロ/米ドルは、一回り大きいボックス相場「ピンクの破線」を形成した、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
1月下旬(1月21日)のECB理事会では、事前の予想どおりに、金利据え置きとなった。
ただし、この日(1月21日)の会見で、ドラギECB総裁は、3月に追加緩和策を採る旨、示唆した。
それを材料に、ユーロ/米ドルは下落したが、その後、反発に転じて、「行って来い」の値動きになっている。
ドラギECB総裁は、ユーロの下落(=ユーロ安)を望んでいる節がある。
中央銀行の総裁の立場では、為替レートの水準に関して発言することはタブーであるから、それを明言することはできない。
ドラギECB総裁は、欧州経済の回復のために、ユーロの下落(=ユーロ安)が有効と考えているのだろう、と推測する。
■直近の「売りシグナル」には従った方が良い
4時間足チャートを見ると、ユーロ/米ドルは、ボックス相場「ピンクの破線」を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
しかし、この水準から、「ユーロ買い」でついていかない方が良い、と考えた。
大局での「ユーロ下落トレンド」に変化がない、と考えるからだ。
そして、直近の値動きでは、4時間足チャートを見てのとおりに、短期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、ユーロ/米ドルは「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」には、従った方が良い、と考える。
短期のレジスタンス・ライン「青の破線」を表示した。
上述の「売りシグナル」を発して以降は、この短期のレジスタンス・ライン「青の破線」に従って、ユーロ/米ドルは下落している、と考える。
■G20で日本は「米ドル買い・円売り介入」を封じられた?
G20について一言。
先週末(2月26日、27日)に上海で、G20(財務相・中央銀行総裁会議)が開催された。
しかし、個人的には、事前に、「今回のG20での、効果のある合意の可能性は、極めて低い」と考えていた。
そもそも、G20は、効果的な合意を形成できる可能性が少ない。
参加国が多いので、それぞれの立場を考えると、利害が一致しなくなり、方向性のある合意が成立し難いのだ。
その点、まだ、G7や、サミットの方が効果的だろう。
そういった情勢の下、今回のG20(財務相・中央銀行総裁会議)が終了し、声明が発表された。
個人的には、事前に想定したとおりに、「何一つとして、具体的かつ効果的な政策・合意はない」と判断した。
ところが、G20終了後の、マスコミの報道を見ると、なんらの具体策もないのに、ずいぶんと評価の高いコメントが多かった。
正直なところ、私の感覚が変なのか(間違っているのか)、と、多少不安に感じる程だった。
週明け(2月29日)のマーケットを見て、正直に、ほっとしている。
やっぱり、今回のG20では、表面だけは格好の良い声明が発表されたものの、「何一つとして、具体的かつ効果的な政策・合意はなかった」
と、改めて判断する。
金融政策以外の、景気浮揚策を求める声も出たが、強制力もないし、
たとえば、日本にしても、中国にしても、景気を浮揚したいのは、山々なのだが、それができるのならば、わざわざG20で指摘される以前に、さっさとやっているはずだ。
日本には、財源が不足している。
中国の場合は、シャドーバンキング問題などで、水面下に隠れている不良債権が莫大で、どうにも手が出せないのだろう、と推測している。
今回のG20で注目するべきは、「各国が通貨安競争を避ける」という合意。
この合意で、日本は、「米ドル買い・円売り介入」を封じられた、と考えている。
もちろん、今後の相場で、米ドル/円が短期間で、いっきに100.00円を割り込むようなことになれば、「米ドル買い・円売り介入」の可能性もあり得るが、時間をかけて、徐々に相場が変化するのならば、基本的に、介入そのものが否定されるだろう。
つまり、一般論として、為替相場に介入することは「禁じ手」と確認された、と考えている。
(2016年3月2日 東京時間13:35記述)
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