■【消費増税延期】補正予算の規模は縮小か
週末、2つの大きなニュースが出ましたね。
ひとつはFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長講演。27日(金)の深夜に行われた講演では「数カ月以内の利上げが適切」とホーキッシュ(タカ派的)な発言が出てきました。
そして、もうひとつが日本の消費増税延期です。
この2つが重なったこともあり、5月30日(月)の米ドル/円は111円台ミドルまで上昇、日経平均も前営業日比233円高と、いずれも上昇して始まっています。

(出所:CQG)

(出所:CQG)
利上げは本来、株式市場にネガティブですから、為替も株も上がっているというのはイエレン発言だけではなく、消費増税延期のインパクトもあったということ。消費増税延期は以前から言われていたことで今さら感はありますが、市場は素直に反応しましたね。
ただ、これで割りを食うかもしれないのが補正予算。10兆円規模が期待されていましたが、増税延期となると財源の問題から5兆円規模に縮小される可能性が出てきました。5兆円規模では失望売りが出てきそう。
6月1日(水)には安倍総理の記者会見が予定されています。そこで消費増税延期を正式表明するのでしょうが、あわせて補正予算の話も出てくるのかどうか…。

開催:6月1日(水)
■【米利上げ】「Bremain」が決定的なら6月利上げも
アメリカの利上げはどうなんでしょうね。イエレン発言の原文では「in the coming months」のうちに利上げとされています。
数カ月以内ということは6月14日(火)、15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げするのでしょうか。翌週、6月23日(木)に英国民投票があるだけに難しいと思いますが。
【参考記事】
●6月米利上げ織り込み度が33.8%へ急上昇! 今週、イエレンのどんでん返しはあるのか?(5月24日、西原宏一&松崎美子)
常識的に考えれば利上げはないですよね。それまでに「Bremain(イギリスのEU残留、Britain【英国】とRemain【残留】を組み合わせた造語)」が確定的になれば、利上げする可能性もあるのでしょうが。
メディアの世論調査を見ても残留支持が優勢ではあるものの、離脱支持が50%を超える調査もあります。EU残留が決定的だとはとても思えません。
ということはFOMCも、それに歩調を合わせるであろう日銀の追加緩和も7月以降に持ち越しでしょうね。
イエレンさんは利上げについて、「経済指標次第」とも言っていますが、今週、6月3日(金)は米雇用統計。NFP(非農業部門雇用者数)は16万人増の予想です。

米雇用統計は6月3日(金)21時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
いつもよりハードルが低いですね。「予想よりもいい数字が出た」と瞬間的に反応することはありそうです。ただ、6月は大きなイベントが続く。
6月15日(水)のFOMC、16日(木)の日銀、そして、23日(木)の英国民投票――それまでは、あまり方向性を決めつけたくないですね。
【参考記事】
●鉄鉱石急落で豪ドル下落! 市場はいつリスクオフに変貌しても不思議ではない!(5月26日、西原宏一)
6月2日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会もありますが、金融政策の変更はないでしょうし、ドラギさんの記者会見もとくに聞きたいことはありません。ノンイベントとなりそうですね。

発表:6月3日(金)21時30分
予想:16.1万人増(非農業部門雇用者数)、4.9%(失業率)
前回:16万人増(非農業部門雇用者数)、5%(失業率)

政策金利発表:6月2日(木)20時45分
記者会見:6月2日(木)21時30分
前回:変更なし
予想:変更なし
(次ページでは鉄鉱石や原油相場、さらに米ドル/円の戦略の話題が…)
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