■【Brexit】セリング・クライマックスはこれからか
英国国民投票は大変なことになりました。一寸先は闇、イギリスでは何が起きるか、わからなくなっています。

英国国民投票の「EU離脱」決定という結果を受けて歓喜するEU離脱派。 写真:AFP=時事

「EU離脱」というまさかの結果に落胆するEU残留派。 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
Bremain(英国のEU残留)を前提にマーケットは動いていたため、Bremainは織り込まれていましたがBrexit(英国のEU離脱)は織り込まれていませんでした。
予想外の結果にマーケットは吹っ飛びました。プラザ合意(※)もすごかったですが、今回は英ポンド/円が1日で30円近く落ちた。私も初めて見るような暴落です。
(編集部注:「プラザ合意」とは、1985年9月にG5(アメリカ、日本、西ドイツ、イギリス、フランス)の大蔵大臣・財務長官・中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集まって行われた為替に関する歴史的な合意のこと。このプラザ合意によって、急速な円高が進み、米ドル/円は2年3カ月でおよそ半値になるような、途方もない速度で下落することになった)
【参考記事】
●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(6月24日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)
英ポンドはたしかに急落しましたが、実効レートで見るとまだ10%も落ちていません。

(出所:BOE)
リーマンショックやジョージ・ソロスの仕掛けたポンド危機、サッチャー政権下での大不況では14%から27%も落ちましたから、「英ポンドのセリング・クライマックスはこれから」と見ることもできます。
【参考記事】
●ポンド危機:中央銀行がヘッジファンドに敗れポンドが暴落した「ブラックウェンズデー」
■【英ポンド安】「国家崩壊」の始まりで新たな領域に
2月に英ポンド/米ドルの月足は31年ぶりに終値で1.40ドルを割り込みました。
【参考記事】
●月足終値で1.40ドル割れなら31年ぶり! 英ポンドを暴落させたボリスショックとは?(2月25日、西原宏一)
そのまま落ちるかと思いきや2月の動きはダマシとなりましたが、今回は明確に1.40ドルを割り込んで6月もあと3日。1.40ドルを抜けて月足が確定するでしょう。そうなると英ポンド/米ドルは新しい領域に入ってきます。
フィボナッチ・エクスパンションを引くと次のターゲットは1.1681ドル。さすがにそこまで落ちるとは思いませんが、1.20ドル方向へ向かって下げていくのでしょう。

(出所:CQG)
同感です。6月24日(金)のような急落はもうないのでしょうが、1.20ドルから1.25ドルあたりまで落ちるのでしょう。

(出所:CQG)
怖いのは、この先、何が起きるのか、誰もわかっていないということですね。マーケットはこうした不透明感をいちばん嫌います。
「EU(欧州連合)を離脱するからといってイギリスや英ポンドがなくなるわけではない、神経質になりすぎでは…」という声もありますが、私はこの意見に反対。
イギリスは「国家崩壊」への第一歩を踏み出したのです。スコットランドの独立、北アイルランドとアイルランドの統一が実現すれば、イギリスはイングランドとウェールズだけになる。
「私たちの知っているイギリス」がなくなる可能性が高まっているんです。首相のキャメロンさんの辞任だけでなく、野党・労働党の党首交代、解散総選挙の可能性も出てきて、「政治不在」となりつつもあり、何が起きるのか、本当に誰にもわかりません。
イギリスは金融街であるシティーを中心にして潤っていた部分も大きく、それに対して、貧困層が反旗を翻したとも言えますね。
(次ページではトレード戦略と、西原さん、美子さんからのコメントが…)
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