2016年8月19日(金)、ヒロセ通商(証券コード:7185)は株式市場終了後に株主優待の新設を発表した。このヒロセ通商の株主優待新設自体には意外性はなかったが、その内容には驚くべきものがあった…。
というわけで、今回はヒロセ通商の株主優待の話題についてお伝えしたい。
■予想どおり、ヒロセ通商が株主優待を新設
ヒロセ通商がJASDAQに上場したのは2016年3月18日(金)のこと。その時点では株主優待を実施していなかったヒロセ通商だったが、グルメキャンペーンで有名な同社だけに、株主優待はいかにも実施しそうとみられていた。
実際、上場時にザイFX!が行った取材に対して、ヒロセ通商は「株主優待は導入について検討している状況です」と答えていた(以下の記事参照)。
【参考記事】
●ヒロセ通商の新規上場セレモニーに潜入! ビットコイン導入予定は? 株主優待は?
だから、ヒロセ通商の株主優待新設自体は想定の範囲内なのだが、想定以上だったのは、優待品の金額だった。
■100株保有で1万円相当のキャンペーン商品がもらえる!
いったい、どれほどの優待品がもらえるというのか? 気になる優待内容は以下のとおりだ。
保有株式数 | 優待内容 |
100株以上~1000株未満 | ヒロセ通商のキャンペーン商品1万円相当 |
1000株以上 | ヒロセ通商のキャンペーン商品3万円相当 |
この優待品がもらえるのは9月末現在のヒロセ通商の株主。毎年9月30日現在にヒロセ通商の株主になっていれば、上表のとおり、保有株式数に応じて株主優待品がもらえることになる。
そして、ヒロセ通商株を100株持っていれば、1万円相当のキャンペーン商品、1000株持っていれば、3万円相当のキャンペーン商品がもらえるのである。
1単元(100株)の保有で1万円相当もの商品がもらえる株主優待はあまりない。たいてい、この手の優待品は3000円相当分もらえればいい方なのだ。
もっとも、株価が高くて、100株買うのに多額の資金が必要ならば、割りのいい優待品とも言えなくなる。
たとえば、しょうゆでおなじみ、キッコーマン(証券コード:2801)は東証1部に上場しているが、その株価は8月22日(月)終値で3190円。この銘柄の場合、1単元は1000株なので、最低でも319万円もの資金が必要となってしまう。
そして、キッコーマンの場合、1000株持っていれば、株主優待で2500円相当の自社グループ商品がもらえるのだが、300万円以上もの資金が必要となると、株主優待狙いということなら、割りのいい投資とは言えない。
■「配当&優待利回り」はなんと9.9%に!
ヒロセ通商の場合、その株価は8月22日(月)終値で1175円。1単元は100株なので、11万7500円あれば、ヒロセ通商株を買えることになる。巨額の資金は全然必要ないのだ。そして、これを持ったまま株主優待の権利確定日を通過すれば、1万円相当のキャンペーン商品がもらえるというわけだ。
その優待利回りを計算すれば…
1万円÷11万7500円≒8.5%
なんと8.5%にもなるのである。これはもう、“異次元クラスの株主還元策”としか言いようがない。
さらにヒロセ通商は毎年3月末に配当を出しており、こちらは2016年3月実績で1株当たり16円となっている。100株持っていれば1600円の配当だ。ヒロセ通商は3月決算の企業だが、期末の3月には配当、上半期末の9月には優待という株主還元策を行うようである。
そして、配当と優待を足して、「配当&優待利回り」を算出すれば…
1万1600円÷11万7500円≒9.9%
ご覧のとおり、9.9%にもなるのである。
株式は銀行預金とは違って、株価が下落すれば損する可能性がもちろんあり、9.9%という数字は確定利回りではない。とはいえ、このマイナス金利時代にこの高利回りは驚きとしか言いようがない。
■権利確定日の9月30日に買っているのでは手遅れ
なお、再掲載した下表のとおり、保有株数が100株から1000株へ10倍に増えても、株主優待品の相当金額は1万円から3万円と3倍にしかなっていないが、これは株主優待ではよくあること。ヒロセ通商がケチというわけではない。株主優待品の相当金額は保有株式数に正比例して大きくはならないのが普通なのだ。
保有株式数 | 優待内容 |
100株以上~1000株未満 | ヒロセ通商のキャンペーン商品1万円相当 |
1000株以上 | ヒロセ通商のキャンペーン商品3万円相当 |
したがって、「優待利回り」だけを考えれば、最低の1単元(ヒロセ通商の場合なら100株)だけ持っておくのが一番オトクという優待株は非常に多い。株主優待好きの投資家には、1単元ずつたくさんの銘柄を持っている人も結構いる。
また、株主優待は毎年9月30日現在のヒロセ通商の株主がもらえるわけであり、あと1カ月強でその日はやってくるが、9月30日になってからヒロセ通商株を買えばよいわけではない。9月30日になってから買っているのでは手遅れなのだ。
日本の株式で、株主名簿に登録されるのは、その株を購入してから3営業日後。そして、株主名簿に登録されなければ、株主優待はもらえない。
だから、2016年9月30日(金)の権利確定日に株主名簿に登録されるようにするためには、その3営業日前の2016年9月27日(火)までにヒロセ通商株を買っておかなくてはならない。この9月27日(火)のような日を権利付き最終日という。
ヒロセ通商の株主優待が欲しかったら、権利付き最終日までに株を買っておかなくてはいけないということだ。この点はご注意を。
■1万円分のキャンペーン商品、具体的には?
さて、100株保有していれば、1万円分のキャンペーン商品がもらえるというヒロセ通商の株主優待だが、その具体的な内容は明らかにはされていない。
ヒロセ通商のIR(投資家向け情報)ページには、以下のように、牛肉、餃子、チャーハンなど、ヒロセ通商のグルメキャンペーンでおなじみの商品が並ぶバナーが掲載されている。
さらにIRページには以下のように、カレー、パスタセット、ナップザックといった商品が並んでいる画像もあった。
株主優待では、おそらく、こういった商品の何種類かがもらえることになるのだろう。
また、ヒロセ通商のIRページには、以下のように、株主優待でもらえる商品は、同社が毎月実施しているFX取引のキャンペーンでももらえるということが書かれていた。
株主優待で話題を集め、株式投資家の注目を浴び、さらにそこから興味を持った人をFX取引にも引き入れてしまおうというヒロセ通商の戦略が垣間見えるようだ。
■もはやFX業界名物、ど派手なグルメキャンペーン
なお、ザイFX!の読者ならご存じの方が多いと思うが、ヒロセ通商はFX業界有数のキャンペーンが充実しているFX会社だ。なかでもグルメキャンペーンをFX業界に定着させたのは間違いなく、ヒロセ通商である。
【参考記事】
●FX業界に衝撃!? GMOクリック証券とヒロセ通商に第1次グルメ戦争勃発か!?
とてもFX会社とは思えない、かといって食品会社とも違う、ヒロセ通商のど派手なグルメキャンペーンの紹介ページは、もはやFX業界名物と言ってよい存在。
せっかくなので、ヒロセ通商でこの8月に実施されているメインのグルメキャンペーン画像をほぼノーカットでドカンとお届けしよう。
LIONチャーハン、若鶏の唐揚げ、牛ホルモン焼きうどん、そして、LION FXれんげまでもらえてしまう「中華満腹セット」のキャンペーンである。
【参考記事】
●葉加瀬太郎の新譜はFXのイメージソング!? あの小林芳彦社長が全国へ生放送開始!
そして、グルメキャンペーンだけではない。キャッシュバックキャンペーンも…
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