■FX業界今むかし、スワップ金利が注目された時代って?
一昔前、いや、FX業界の流れが速いので、もう、ふた昔前と言っても良いかもしれませんが、「FXの魅力と言えばスワップ金利! 円がらみの通貨ペアを買っておけば、寝ている間にチャリンチャリンお小遣いが貯まる!」と言われた時代がありました。
YJFX!のウェブサイトに掲載されている、スワップ金利(スワップポイント)を説明する画像を見ると、2006年4月のものとして掲載されているスワップ金利は、米ドル/円でもなんと154円!

それもそのはず、今から10年前の2006年10月当時、米国の政策金利は5.25%。資源国はその性質上、比較的高金利になりやすい傾向がありますが、豪州政策金利は6%、ニュージーランドに至っては7.25%でした。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
しかしその後、2007年のサブプライムショックに端を発した米国金融危機を背景に、米国政策金利は急低下。ザイFX!がスタートした2008年4月には、すでに2.25%まで引き下げられていました。もっとも、その時点でも豪州はまだ7.25%、ニュージーランドは8.25%と、金利はまだ上がっており、「スワップ金利狙いならオセアニア通貨取引」というのが定番に。
■スワップ金利よりスプレッド重視の時代到来
ところが、2008年の秋に起こったリーマンショックの影響で豪ドルは大暴落。豪州政策金利も3%台に、ニュージーランド政策金利は2%台まで大きく引き下げられました。
その後、豪州はいち早く金利引き上げを行ったため、2010年末ごろには4.75%まで上昇したものの、NZドルを含めその他の主要通貨は低金利を維持。
また、2009年頃からそれまで1銭以上が当たり前だった米ドル/円のスプレッドを、1銭未満で提供するFX会社が次々と出てきたこともあって、FX取引自体が「スワップ金利を狙って預金代わりに長期でポジションを保有する」というよりは、「狭いスプレッドを生かして短期で売買する」ものという認識に変わっていきました。
【参考記事】
●ザイFX!で振り返る2009年(2) 【FX業界編】
しかし、近年では南アフリカランドやトルコリラといった新興国通貨を取り扱うFX会社が増え、スワップ金利狙いで注目されるのは、そういった高金利通貨に。
豪ドル/円やNZドル円はまだしも、1万通貨あたり1円とか2円とかしかつかない、時には0円ということもあった米ドル/円のスワップ金利は、その存在自体が忘れられたも同然、ザイFX!でもまったく話題に上っていませんでした。
■米ドル/円の逆襲!? 忘れられたも同然のスワップが…
ところが。先日更新されたザイFX!の「FX会社徹底比較!」で米ドル/円のスワップ金利を見てみると…あらら!?

【参考コンテンツ】
●FX会社徹底比較!:スワップ金利で比べる[米ドル/円 スワップ金利の高い順]
くりっく365の39円を筆頭に、SBI FXトレードが28円、マネックス証券[マネックスFXプレミアム]が27円と、なんだか米ドル/円のスワップ金利では、ここ数年見たことのないような大きな数字になっているじゃないですか。これは、見逃すわけにはいきません。いったいいつの間に、こんなことになっていたんでしょうか。
くりっく365口座の1つ、GMOクリック証券(くりっく365)がウェブサイトでスワップ金利の履歴を公開してくれていますので、確認してみたいと思います。
こちらは、2015年4月~2016年10月25日(火)現在までの、GMOクリック証券(くりっく365)の1日当たりのスワップ金利の月間平均をグラフにしたものです。

こうしてみると、ジグザグと上下しながらも、着実に右肩上がりになっているのがよくわかります。テクニカル分析的に言うと(?)、日銀のマイナス金利導入をきっかけに保ち合いを上抜けした、といったところでしょうか。2016年9月平均が1日当たり35円だったなんて、中長期トレーダーにとっては無視できない金額ですよね!?
いくら高金利と言っても、新興国通貨の取引にはちょっと抵抗がある…というトレーダーにとって、王道の米ドル/円取引でスワップ金利も狙えるというのは、かなり魅力的ではないでしょうか。
■米ドル/円スワップ金利は、なぜあまり注目されなかった?
でも、米ドル/円のスワップ金利がこんなに高くなっているのに、今ひとつ注目されなかったのは、なぜなのでしょう?
スワップ金利の高さをアピールしているFX会社と言えば、ヒロセ通商やその子会社のJFXなどがありますが、そのあたりの米ドル/円スワップ金利はどうなっているのでしょうか。豪ドル/円スワップ金利が高いFX会社の米ドル/円スワップ金利を見てみましょう。
【参考記事】
●利下げも関係なし!? 高金利3通貨ペアのスワップ金利を固定しているFX会社とは?
●10年がかりの壮大な実験開始! スワップ金利狙いでトルコリラ/円を持ち続けたら?

【参考コンテンツ】
●FX会社徹底比較!:スワップ金利で比べる[豪ドル/円 スワップ金利の高い順]
豪ドル/円スワップ金利上位3社、ヒロセ通商[LION FX]、JFX[MATRIX TRADER]、岡三オンライン証券[岡三アクティブFX]の米ドル/円のスワップ金利は、たったの1円! なるほど、米ドル/円がフィーチャーされなかったワケですね。
■この会社間格差、もしかして「異業者両建て」できる!?
でも、同じ通貨ペアで会社によってスワップ金利が異なる場合、あの戦法が使えるのでは? そう、「異業者両建て」です。
【参考記事】
●マイナス金利時代に年利7.6%!? 為替リスクなしでスワップ金利だけもらう異業者両建て
「異業者両建て」とは、その名のとおり、異なるFX会社で売りと買いの両建て取引をすること。たとえば、米ドル/円の買いスワップ金利が高いFX会社で米ドル/円を買い、米ドル/円の売りスワップ金利、つまり、支払い金額が安いFX会社で米ドル/円を売って、為替リスクなしでスワップ金利の差額を受け取る、という戦法です。
会社間でこんなにスワップ金利に差があるならば、もしかするともしかして…? と思って少し調べてみましたが、残念! そんなに甘くはありませんでした。
10月25日(火)の、ヒロセ通商[LION FX]やJFX[MATRIX TRADER]、岡三オンライン証券[岡三アクティブFX]の米ドル/円買いのスワップ金利は5円でしたが、売りのスワップ金利は-46円! 同じ日のGMOクリック証券(くりっく365)の米ドル/円買いのスワップ金利は26円…。これでは「異業者両建て」戦法は使えませんね。
では、同じGMOクリック証券でも、店頭取引口座の[FXネオ]はどうかというと、10月25日(火)の米ドル/円売りスワップ金利は-23円。GMOクリック証券(くりっく365)の米ドル/円買いのスワップ金利26円との差額は3円。チリも積もれば…とは言いますが、1年間同じ金額差だったとしても約1000円にしかならず、金利が一定ではないリスクを考えると、わざわざ試すほどの戦略ではないかも。
ということで、米ドル/円のスワップ金利を考慮すべきは、やはり中長期のトレーダーということになりそうです。
■戦略や通貨ペアごとに、FX会社を変えるのが有効かも
もっとも、先の豪ドル/円と米ドル/円の例からもわかるように、通貨ペアによってスワップ金利が高いFX会社が全然違います。たとえば、英ポンド/円はご覧のとおり。

【参考コンテンツ】
●FX会社徹底比較!:スワップ金利で比べる[英ポンド/円 スワップ金利の高い順]
ですから、中長期トレーダーにとっては、通貨ペアごとにスワップ金利を確認し、FX会社を変えるということも有効かもしれません。
トレーダーとしてもう一歩前進するために、自身のトレードスタイル、取引通貨ペアに合ったFX口座を検討してみてはいかがでしょうか。
ザイFX!のコンテンツ、「FX会社徹底比較」もぜひ、有効活用してみてくださいね♪
>>>YJFX![外貨ex]の最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
>>>ヒロセ通商[LION FX]の最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
>>>JFX[MATRIX TRADER]の最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧くださいはザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
>>>GMOクリック証券[FXネオ]の最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
>>>SBI FXトレードの最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
>>>マネックス証券[マネックスFXプレミアム]の最新スペック詳細はザイFX!の比較コンテンツをご覧ください
(ザイFX!編集部・上岡由布子)
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