■「2016年夏の100円」と「2017年春の110円」
先週(4月3日~)は保護主義を主張していたバノン首席戦略補佐官が国家安全保障会議(NSC)のメンバーから外される、というニュースもありましたよね。
シリア攻撃に反対したためでしょう。バノンがいなくなることで、トランプ政権は市場主義的な政策へと傾いていくことになりそう。
相場の話に戻すと、地政学リスクの高まりもあってか、先週、4月6日(木)の東証空売り比率は45.3%と今年最高の高水準でした。

(出所:Bloomberg)
日経平均を売り崩したいヘッジファンドが「まずは為替から」と米ドル/円の110円割れを狙いましたが失敗。このまま110円を割らないようだと、戻り基調に入るのかもしれません。
米利上げ後の調整も1か月近くが経過し、サイクル分析からもそろそろという感じがします。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
でも、このまま115円へと回復するような感じにも思えないですよね。
目先は112円台がメドかもしれませんね。思い出すのは昨年(2016年)夏から秋にかけての相場。
円高を予見する人が多く、「100円割れは当然、95円もあるだろう」といった見通しが圧倒的でした。しかし、100円は非常に固く、米大統領選を境にして118円台まで急騰しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
今回も110円が非常に固い。昨年(2016年)と違うのは相場観が円高に偏っているわけではないことですが、110円を死守できるかどうか、注目ですね。
このまま110円を守って、112円を大きく超えていくようだと雰囲気も変わってきそうです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
【参考記事】
●レーガノミクス再来か。トランプ次期大統領のトランポノミクスのもと、ドル/円は109円へ(2016年11月10日、西原宏一)
●予想どおりドル/円は109円へ。ここからは調整局面。次は112円、来年は115円へ!(2016年11月17日、西原宏一)
■原油相場は底入れか? でも、怖いのは「セル・イン・メイ」
強気派の後押しをする材料を挙げるなら、シリアでの有事もあり、WTI原油が上昇してきていることがあります。
原油はこれからが需要期。米国ではドライブシーズンが始まり、ガソリン需要が高まりますし、WTI原油は短期的に底入れした可能性がありそう。

(出所:Bloomberg)
一方で、そろそろ気になってくるのは「セル・イン・メイ」(※)です。
例年、米国株を中心に5月の相場は下げやすい傾向があります。今年はセル・イン・メイに加えて地政学リスクが高まっています。上がったところはしっかりと利食っていきたいですね。
(※編集部注:「セル・イン・メイ」とは5月に市場が調整する傾向があるという、米株式市場の格言「Sell in May and go away」のこと)
■中国に課された宿題「100日計画」
材料でいくと今週の4月15日(土)は、米議会に為替報告書が提出される予定ですね。
注目は、中国が為替操作国にリストアップされるのかどうか。
為替操作国への認定はもう少し先になるかもしれないですね。先週の米中首脳会談での数少ない合意事項が、米中の貿易関係についての「100日計画」策定。
米国が「100日以内に答えを出せ」と中国に迫ったとも受け取れます。為替操作国なのか、あるいは違う基準なのか、この100日計画が出てから中国への圧力を高めていくことも考えられます。
今週末、4月14日(金)は日本株のSQ(※)があり、欧米ではイースターのため休場となります。空売り比率の高い水準を見ると、今回のSQでは急落よりも買い戻しによる上昇を警戒したいですね。
戦略としては110円の攻防に注目しながら、引き続き米ドル/円の押し目買いでしょうか。
(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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