■114円台の高値水準から、ボックス相場を形成しながら下落
この短期のチャートを俯瞰すると、米ドル/円は、高値水準でボックス相場「茶色の破線」を形成した、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「茶色の破線」の上限は114円台ミドル程度、下限は112円台ミドル程度、と考える。
このボックス相場「茶色の破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」に従い、下落して、米ドル/円は、「紫の破線」で示したボックス相場を形成した、と考える。
ボックス相場「紫の破線」の上限112.50円近辺、下限は110.50円近辺、と考える。
このボックス相場「紫の破線」の下限(110.50円近辺)を割り込み、さらに「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」に従い下落して、米ドル/円はボックス相場「青の破線」を形成中、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「青の破線」の上限は111.00円近辺、下限は109.00円近辺(ないしは、108円台後半程度)、と考える。
■111円近辺を上抜けたら、米ドル/円売りは撤退だが…
短期のレジスタンス・ライン「緑の破線」を表示した。
(出所:ヒロセ通商)
114円台からの下落は、この短期のレジスタンス・ライン「緑の破線」に従っている、と考える。
直近の動きで、この短期のレジスタンス・ライン「緑の破線」を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。
ただし、引き続き、ボックス相場「青の破線」のインサイドにある。
111.00円近辺を、明確に、上抜けする場合は、売り方(=米ドル売り・円買いのポジション)は、いったん撤退と考える。
短期的なポジションの取り方としては111.30円程度にストップ・ロスを置いて、「米ドル売り・円買い」で良い、と考える。
■米国のバランスシート縮小は9月、再利上げは12月か
米国の金融政策を考察すると、6月13日(火)、14日(火)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、米ドル政策金利の0.25%引き上げが実施された。
この時(6月)のFOMC後の会見で、「2017年年内に、もう1回の利上げ」で決着した、と考える。
そして、バランスシートの縮小は、2017年年内に開始し、当初月間100億ドルのペースで縮小することが発表された。
イエレンFRB議長はFOMC後の会見で、「比較的早期に」バランスシート縮小を開始する可能性がある、と表明したので、9月に、バランスシート縮小を開始し、12月に、政策金利の0.25%の引き上げを想定しているのだろう、と考える。
6月のFOMCは、基本的には、米ドル金利を非常にゆっくりと、段階的に引き上げることを確認し、FRBのバランスシートを、こちらもゆっくりと縮小することを確認した、と考える。
内容としては、「米ドル買い」の材料と判断する。
しかし、このこと(米国の金融政策)をもって単純に「米ドル買い・円売り」で良い、とは考え難い、と考えている。
つまり、米ドル/円の大局的なトレンドを考えると、単純に上昇トレンドと言い切れない、と考えている。
7月25日(火)・26日(水)のFOMCは、事前の予想どおりに、「現状維持(アンチェインジド)」だった。
今のところ、6月のFOMC後に考察した内容で良い、と考える。
■北朝鮮問題は、これから出てくるニュースに注目するしかない
北朝鮮問題で、マーケットは右往左往しているが、こればかりは、事前に予想ができない。
北朝鮮と米国の緊張関係が、緊迫化しており、それが、マーケット(外国為替市場)のテーマ(材料)になっている。
しかしながら、トランプ米国大統領も、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長も、挑発的な発言を、繰り返し発表するだけで、表面上は、訳がわからない。
水面下で、何かしらの交渉を行っているのだろうが、その交渉内容は、トップシークレットなのだろう。漏れて伝わっては来ていない様子だ。
北朝鮮は、グァムにミサイルを4発発射する旨の恫喝とも受け取れる発言を繰り返している。
日本の防衛省も、北朝鮮からグァムにミサイルが発射される場合に通過する地域に、ミサイルを迎撃する体制を整えた様子だ。
果たして、北朝鮮がミサイルを発射するのか、しないのか? こればかりは、事前に予想することは不可能だ。
また、それが発射された場合に、米国がどういった行動を取るのか?
米国は、「あらゆる選択肢がある」としているので、このことも、また、事前に予想することが、難しい。
いち市場参加者の立場でモノ申せば、「お盆休み」の真っ最中に、まったく困ったものだ、といったところだが、北朝鮮に文句を言っても、米国に文句を言っても、どうにもなりそうにない。
これから出てくるニュースに注目するしかない、と考える。
(2017年8月16日 東京時間13:30記述)
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