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マネースクウェアと外為オンラインの特許権
裁判で高裁判決! 勝訴したのはどっち?

2018年01月11日(木)東京時間 12:45

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 突然ですが、皆さんは「知的財産高等裁判所」という裁判所をご存じでしょうか。

 通常の裁判は、一審が地方裁判所から始まれば、二審が高等裁判所、高裁で決着がつかなかった場合は最高裁判所と進んでいきますよね。

 こうした訴訟のなかでも、特許権や著作権をはじめとする知的財産権に関する訴訟を専門的に扱う高等裁判所として、2005年4月に設立されたのが知的財産高等裁判所(以後、知財高裁)です。

 ざっと調べてみると、知財高裁は独立した機関ではなく、東京高裁の特別支部のようなもので、地裁判決に対する控訴があった場合、知的財産に関するものは、通常の高裁ではなく、この地財高裁で裁判が行われるというしくみになっているようです。

■マネースクウェアHDと外為オンラインの3つの裁判とは?

 さて、そんな知財高裁で、FX業界が注目する裁判の判決が2017年12月21日に言い渡されました。マネースクウェア・ジャパン「トラップリピートイフダン(通称トラリピ)」外為オンライン「サイクル注文」「iサイクル注文」の特許をめぐる訴訟です。

 両社の係争については、これまでザイスポFX!で何度か取り上げてきました。

【参考記事】
マネースクウェアが外為オンラインを提訴!FX業界に波紋! 特許は侵害されたのか!?
「トラリピ」VS「iサイクル注文」第2ラウンド!? 未決着の訴訟を抱えたまま新たな訴訟提起
どっちが勝訴? トラリピVSサイクル注文の特許権をめぐる地裁の裁判で判決が出た!
ザイFX!で2017年を振り返ろう!(4)店頭FXだけ? 新レバレッジ規制の怪!

 この訴訟は、外為オンラインのサイクル注文とiサイクル注文が、マネースクウェア・ジャパンのトラリピの特許を侵害しているという趣旨の裁判で、提訴したのはマネースクウェア・ジャパンの持ち株会社、マネースクウェアHDです。

 マネースクウェアHDが外為オンラインに対して起こしている裁判はザイFX!が確認できた限り、3つあります。ここまでの経緯を含めて、ざっと表にまとめてみました。

2015年2月19日 提訴
提訴内容 マネースクウェア・ジャパンの持ち株会社マネースクウェアHDが、外為オンラインの「サイクル注文」「iサイクル注文」がマネースクウェア・ジャパンの保有する特許を侵害しているとの主張で東京地裁に提訴。「サイクル注文」「iサイクル注文」のサービス差し止めを求める。
対象特許 特許第5525082号、特許第5650776号
(のちに特許第5826909号を追加)
一審(東京地裁) 2017年2月10日判決。マネースクウェアHDの訴えを退け、外為オンラインが勝訴。2017年2月24日、マネースクウェアHDが控訴。
二審(知財高裁) 2017年12月21日判決。「サイクル注文」についてはマネースクウェアHDの訴えを認め、サービスの差し止め命令。「iサイクル注文」については訴えを退ける。
   
2016年6月29日 提訴
提訴内容 マネースクウェア・ジャパンの持ち株会社マネースクウェアHDが、外為オンラインの「iサイクル注文」がマネースクウェア・ジャパンの保有する特許を侵害しているとの主張で東京地裁に提訴。「iサイクル注文」のサービス停止を求める。
対象特許 特許第5941237号
一審(東京地裁) 2017年7月20日判決。マネースクウェアHDの訴えを退け、外為オンラインが勝訴。2017年7月20日付のニュースリリースによると、マネースクウェアHDは控訴手続き中。
   
2017年7月19日 提訴
提訴内容 マネースクウェア・ジャパンの持ち株会社マネースクウェアHDが、外為オンラインの「iサイクル注文」がマネースクウェア・ジャパンの保有する特許を侵害しているとの主張で東京地裁に提訴。
対象特許 2017年7月20日付のマネースクウェア・ジャパンのニュースリリースには、提訴する特許について「別の特許権」との記述しかないため、対象となる特許番号は不明。

※マネースクウェアHD、外為オンラインのリリースを元にザイFX!編集部が作成

■知財高裁で出た判決は両社痛み分けか

 今回、2017年12月21日に判決が出たのは、2015年2月19日に提訴された裁判です。結論としては、表の赤い文字の部分にあるとおり、サイクル注文についてはマネースクウェアHDの訴えを認め、iサイクル注文については訴えを退けるというものでした。

 一審の東京地裁では外為オンライン側の全面勝訴だったので、マネースクウェアHDからすれば、サイクル注文については逆転勝訴を勝ち取ったかたちになります。ただ、iサイクル注文については一審判決のままなので、1勝1敗で両者(両社)痛み分けといったところでしょうか。

 2016年6月29日に提訴された2つめの訴訟については、2017年7月20日にマネースクウェアHDの訴えを退ける一審判決が出ましたが、その際にマネースクウェアHDから控訴手続きに入るという発表があって以降、新しい情報は出ていないようで、この裁判が続いているのかどうか、今一つわからない状況です。

【参考記事】
トラリピ裁判第2Rに決着。争われたのは戦略的に取得された特許だったのか?

 なお、2017年7月19日に提訴された3つめの訴訟については、提訴を公表した2017年7月20日付のニュースリリースでは詳細が不明で、現時点で一審の係争が行われているかどうかも確認できませんでした。こちらも続報があれば、またザイスポFX!で報告したいと思います。

■マネースクウェア・ジャパンは勝訴をアピール

 先ほど、今回の判決は1勝1敗で両者(両社)痛み分けと書きましたが、マネースクウェア・ジャパンのウェブサイトを見ると、トップページに「勝訴判決」とありました。

ウェブサイトで勝訴をアピールするM2J

 この裁判では、マネースクウェアHD側はサイクル注文とiサイクル注文のサービス差し止めを求めていたので、シンプルに“勝訴”と言い切ってしまっていいのか微妙な面はあるのですが、マネースクウェアHDはニュースリリースでも“勝訴”という言葉を使っています。

マネースクウェアHDのニュースリリース(一部・クリックで拡大)
マネースクウェア・ジャパンのニュースリリース(一部・クリックで拡大)

 iサイクル注文については2016年6月29日に改めて提訴しているので、今回の判決ではサイクル注文のサービス差し止めだけでも一定の目標を達することができたという判断なのだと思われます。

■判決日はトラリピくんの誕生日だった!?

 ちなみに、判決が出た12月21日はマネースクウェア・ジャパンのゆるキャラ、「トラリピくん」の誕生日なんだとか。裁判所が誕生日に合わせて、判決を出してくれるとは思えないので偶然だと思いますが、マネースクウェア・ジャパンとしてはうれしかったのでしょう。本件のお知らせでも、トラリピくんの誕生日のことをアピールしていました。

マネースクウェア・ジャパンのお知らせ
マネースクウェア・ジャパンのお知らせ

 なお、マネースクウェア・ジャパンは、2017年7月にウェブサイトが外部からのサイバー攻撃を受けており、関東財務局からの業務改善命令により、新規口座の開設が停止中となっています。

【参考記事】
サイバー攻撃で11万件の顧客情報が流出。業務改善命令で新規口座開設も一時停止

 “勝訴”をアピールしているマネースクウェア・ジャパン、もうそろそろ新規口座開設の受付復活を期待したいところです。

■両社の係争、次のステージはiサイクル注文

 一方の外為オンラインですが、サイクル注文に関してはサービス差し止めになることを察知していたのか、判決が出る5日前の12月16日(土)にはサイクル注文のサービスを終了し、12月18日(月)からはこれに代わる「サイクル2取引」という新たなサービスをスタートさせていました。

サイクル2取引提供開始のお知らせ

 ちなみに、この裁判の一審係争中の2016年6月に、外為オンラインはiサイクル注文に関する特許を取得しています。

【参考記事】
マネースクウェアHDと東京地裁で係争中でも関係なし!? 外為オンラインが特許取得!

 新たにサービスが始まったサイクル2取引も、上のキャプチャを見ると「特許出願済み」の文字が……。特許をめぐっては、何やら両社の意地のぶつかり合いのような様相を呈してきているように見えます。

マネースクウェア・ジャパンのニュースリリースは勝訴を強調していましたが、外為オンラインのニュースリリースも、iサイクル注文については一審の判決が維持されたことを強調しています。そして、今回、サービスの差し止めを命じられたサイクル注文はすでにサイクル2取引に移行していることから、「本判決がお客様に与える影響はございません」と、強気のコメントを出しています。

外為オンラインのニュースリリース(一部・クリックで拡大)
外為オンラインのニュースリリース(一部・クリックで拡大)

 今回の判決については両社ともに控訴は考えていないようで、これで結審ということになりそうですが、先ほども触れたように、マネースクウェア・ジャパンはiサイクル注文についても特許権侵害で外為オンラインを訴えている模様です。

 先ほども出てきたとおり、このうち、2016年6月29日に提訴した裁判は一審判決を受けて控訴手続き中とのこと。また、2017年7月19日にはiサイクル注文について別の提訴も行っているようです。つまり、引き続きiサイクル注文については「法廷バトル」が継続されているらしい、ということになります。

 iサイクル注文は、FXブロードネットライブスター証券といったFX他社へのライセンス供与も行っているので、iサイクル注文に関する裁判でもしもマネースクウェア・ジャパン側の訴えが認められたら、かなりの影響が出る可能性もあります。

【参考コンテンツ】
システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!:(4)リピート系発注機能【トラリピなど】

外為オンラインだけでなく、iサイクル注文のライセンス供与を受けているFX会社にとっても大きな関心事でしょうね。

■サイクル2取引は証拠金の拘束が少なくてすむ

 せっかくの機会なので、外為オンラインがサイクル注文の代わりにスタートさせたサイクル2取引についても触れておきましょう。

 サイクル注文からサイクル2注文になって大きく変わった点は、これまでのIFD指値注文がアルゴリズムによるダイナミクスな約定処理になったということです。

サイクル2取引の特徴

 ダイナミクスな約定処理というのが、具体的にどういうしくみになっているかは記載がないのですが、この変化でどのような影響があるかというと……。

 従来のIFD指値注文の場合、実際の約定が行われなくても、設定した最大ポジション分の資金(取引証拠金)が必要でしたが、新しいサイクル2取引では、約定した取引にしか取引証拠金がかからなくなったとのことです。証拠金が拘束されないということは、それだけ資金の自由度が高まるということ。なるほど、これはトレーダーにとっては歓迎すべき変更です。

■また、裁判? かなり似ているサイクル注文とサイクル2取引

 以下のキャプチャは、サイクル注文のしくみを解説する過去の記事に掲載していた外為オンラインによる図です。

サイクル注文のイメージ
サイクル注文のイメージ

 そして、以下が、今回サービスを開始したサイクル2取引の手順。こちらも外為オンラインが提供している図です。

サイクル2取引のイメージ
サイクル2取引のイメージ

 かなり似ていますよね。

 もともとマネースクウェアHDが外為オンラインを訴えたのは、特許権を侵害しているという理由だったわけですが、約定処理が変わっただけで特許権を侵害していないことになるのでしょうか。

 そこはよくわかりませんが、マネースクウェアHDは今回出したニュースリリースの中で「当社は引き続き、当社が保有する知的財産権を侵害すると考えられる類似サービス・プログラムに対しては、一切の法的措置を含め、断固たる対応を採っていく所存です」と発表していますので、今度はサイクル2取引を特許権侵害で訴える可能性もあるのかもしれませんね。

 逆にマネースクウェアHDがサイクル2取引に関して訴訟を起こさなければ、サイクル2取引は同社が保有する知的財産権を侵害していないことを意味することにもなりそうです。

マネースクウェア・ジャパン外為オンラインの特許を巡るこの争い、まだまだ目が離せませんね。

 ザイスポFX!では、今後も関連裁判の行方を注視し、進展があったらまたお伝えしていこうと思います。

(※各種キャンペーンの詳しい条件、期間などについては、外為オンラインマネースクウェア・ジャパンのウェブサイトなどで必ずご確認ください。キャンペーン条件が変更されたり、キャンペーン期間が延長されたり、キャンペーンが終了したりすることなどがあります)

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(山口学)

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