■2017年9月のECB理事会を受けて高値更新後、調整の急落
2017年9月7日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会では、事前予想どおりに、ユーロの政策金利の据え置きが発表された。
ドラギECB総裁の記者会見では、金融政策の変更を、2017年10月のECB理事会で発表する旨の発言があった。
つまり、この時点(2017年9月7日)での、マーケット(市場参加者)の解釈は、「10月にテーパリング(量的緩和策の縮小)の方法を発表する」ということだ。
この発言で、ユーロ/米ドルは、再び1.20ドル台に乗せた。ECB理事会の翌日(9月8日)には、高値を更新して、1.20ドル台後半を付けている。
(出所:ヒロセ通商)
1.20ドル台後半の高値を更新してからのユーロ/米ドルは、また、調整(下落)局面を迎えた、と考える。
昨年(2017年)9月20日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、米国が2017年末にもう一度利上げをすることがほぼ確実になった。
上述を材料に、「ユーロ売り・米ドル買い」が出て、また、急落した、と考える。
1.20ドル台後半の高値から、ユーロ/米ドルは、調整局面を迎え下落して、1.15ドル台ミドルの安値を付けた、と考える。
この時点での、ユーロ/米ドルは、サポート・ライン(1)「ピンクの破線(細線)」に従っていた、と考える。
■短期的には1.265ドル近辺がターゲットに
しかし、1.15ドル台ミドルの安値から反発(上昇)しているので、サポート・ライン(2)「ピンクの破線」を表示した。
ユーロ/米ドルは、ボックス相場「紫の破線」を形成した、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「紫の破線」の上限は1.2100ドル近辺、下限は1.1550ドル近辺、と考える。
2018年1月中旬(1月12日)の値動きで、ボックス相場「紫の破線」の上限(1.2100ドル近辺)を上にブレイクして、新たな「買いシグナル」を発した、と考える。
短期的に考察するならば、ボックス相場「紫の破線」の値幅が約550ポイントなので、この新たな「買いシグナル」のターゲットは、上限(1.2100ドル近辺)から、550ポイント上昇したところになる。つまり、1.2650ドル近辺がターゲットだ。
現在のユーロ/米ドルは、ボックス相場「赤の破線」を形成中、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「赤の破線」の上限は1.2550ドル近辺、下限は1.2150ドル近辺、と考える。
1.25ドル台前半の高値を更新したが、今までの最高値を更新しても、跳ね上がらないので、今のところ、ボックス相場「赤の破線」が維持されている、と考える。
同様の理由で、先に述べた1.2650ドル近辺のターゲットにこだわらない方が良い、と考える。
サポート・ライン「ピンクの破線」を割り込む場合は、本格的な調整局面を迎える可能性があることにも留意するべき、と考える。
2017年10月26日(木)のECB理事会後の記者会見で、ドラギECB総裁は、「量的緩和策を突然終了することはない」と強調するとともに、減額はテーパリング(量的緩和策の出口戦略)ではないと発言した。
必要ならさらに延長するとし、政策委員会メンバーの大多数が終了時期をオープンにする決定を支持した、と語った。
ECBがテーパリング(量的緩和策の出口戦略)に向かっている、といった予想・予測が、マーケット(市場参加者)の主流だった、と考えるので、ドラギECB総裁の発言は、想定外の重要な意味を持つ、と考える。
今後のECBが、テーパリングに向かうのか否か、注意深く見る必要がある。
以下は、個人的な思惑だが、記述しておく。
ドラギECB総裁の発言は、「ECBがテーパリングに向かうと、マーケットが判断すると、ユーロの政策金利が先行上昇するだろうという思惑が広がり、欧州の景気回復に水を注すであろう」と危惧して、あえて釘を刺した(あえて、明言した)のではないか、と考えている。
つまり、今年(2018年)の後半になれば、ECBがテーパリング(量的緩和策の出口戦略)に向かう可能性がある、と考える。
2017年12月14日(木)のECB理事会は、事前の予想どおりに政策金利の据え置きを決めた。
ドラギECB総裁は、最近の経済指標が成長の底堅さを示しているものの、インフレの上昇に向けて大規模の緩和が引き続き必要と述べた。
ドラギECB総裁は、緩和策を維持する姿勢を見せたが、2018年以降のECBの金融政策が、ユーロ金利引き上げに向かうといった思惑も、依然として残っている。
ECBの金融政策に関しては、「2017年12月14日(木)のECB理事会で、明らかにならず、今年(2018年)に持ち越した」と言える。
最後に4時間足チャートをご覧いただき…
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