■マイナス金利の導入発表で円売りも、下落トレンドは変わらず
2016年1月29日(金)の日銀政策決定会合で、マイナス金利の導入が発表されて、「円売り」になった。
ユーロ/円は、129円台から132円台に急上昇している。
状況の変化(日銀の追加の金融緩和策)が、その後の相場に、どういった影響を与えるのか、十分に気を配る必要がある、と考えた。
しかし、この時点では、特段の変化は見つからない。
つまり、この時点での基本的な流れは、下落方向(下落トレンド)と考える。
そして、ユーロ/円は、ボックス相場「青の破線」の下限(126.00円近辺)を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場のセオリーに従うと、この「売りシグナル」のターゲットは、
ボックス相場「青の破線」の下限(126.00円近辺)から、ボックス相場「青の破線」の値幅分(約15円)下落した辺りになる。つまり、111.00円近辺になる。
これについて、チャートには「青の破線(両端矢印)」で表示している。週足チャートを見てのとおりに、このターゲットも、すでに達成した。
■ウェッジとボックス相場を上抜けして「買いシグナル」も…
次に、レジスタンス・ライン「緑の破線」を表示した、もう1つの週足チャートをご覧いただきたい。
(出所:ヒロセ通商)
このレジスタンス・ライン「緑の破線」を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。
そして、サポート・ライン(4)「赤の破線」を加筆した。ユーロ/円は、レジスタンス・ライン「緑の破線」とサポート・ライン(4)「赤の破線」で、三角保ち合い(ウェッジ)を形成したと考える。
この三角保ち合い(ウェッジ)を、上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。
さらに、ボックス相場「茶色の破線」を表示した。
(出所:ヒロセ通商)
このボックス相場「茶色の破線」の上限は126.00円近辺、下限は109.00円近辺と考える。
このボックス相場「茶色の破線」を上に抜けて、さらに「買いシグナル」を発した、と考える。
ボックス相場を上に抜けた場合のセオリーは、「ボックス相場の上限を抜けた場合は、上限から、その値幅分上昇する」。
つまり、このボックス相場「茶色の破線」の上限は126.00円近辺、このボックス相場「茶色の破線」の値幅は17円だから、ターゲットは143.00円近辺になる。
サポート・ライン(5)「ピンクの破線」を表示した。
(出所:ヒロセ通商)
週足チャートを見てのとおりに、このサポート・ライン(5)「ピンクの破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
■ユーロ/円急落の背景にトランプ米大統領の関税引上げ
ユーロ/円が急落した理由に、「3月1日(木)のニューヨーク市場で、
トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに対して、輸入関税を課すと発表したこと」が挙げられる。
こういった米国の保護貿易が、新たな貿易戦争に発展するのではないか、といった懸念が広がっている。
米国が保護貿易に向かうことは重大な事象であり、今後、この課題(テーマ=米国の鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税)は、ユーロ/円相場を動かす重要な材料になる可能性がある。
先に述べたとおりに、ボックス相場「茶色の破線」を上抜けした時の上値のターゲットは、143.00円近辺だが、「米国の保護主義」という政治的な材料で、ユーロ/円はこのところの最高値である137.50円近辺でピーク・アウトした可能性が出てきた。
■ヘッド&ショルダー完成し、最低限のターゲットも達成
続いて、さらに別のラインなどを書き込んだ週足チャートをご覧いただきたい。
このチャートに示したように、ユーロ/円が「ヘッド&ショルダー(※)」を完成した、と考える(「ピンクの破線」で、「ヘッド&ショルダー」の形状を示している)。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
(出所:ヒロセ通商)
つまり、126.00円近辺を明確に下に抜けて、下落したので、「ヘッド&ショルダー」を完成して、「売りシグナル」点灯と考える。
この「ヘッド&ショルダー」に着目すると、その最大のターゲット(最も下落幅が大きい場合を想定)は、102円程度になる。
この最大のターゲットは、「紫の破線(両端矢印)」で示している。
この「ヘッド&ショルダー」の形状は、少し「いびつ」だが、126.00円近辺を明確に下抜けしたので、大きく急落する可能性がある、と考えた。
ユーロ/円は、109円台にまで下落したが、109円台から、大きく上昇している。
(出所:ヒロセ通商)
そして、レジスタンス・ライン「緑の破線」とサポート・ライン(1)「赤の破線」で、三角保ち合い(ウェッジ)を形成した、と考える。
この三角保ち合い(ウェッジ)を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。
この「買いシグナル」に従い、ユーロ/円は上昇した。
そして、重要なチャート・ポイントである126.00円を上に抜けて、さらに「買いシグナル」を発した、と考える。
126.00円を上に抜けたことで、「下落トレンド」から「上昇トレンド」に転換した、と判断する。
「ヘッド&ショルダー」の右の山(右の肩)の高さは、週足チャートに表示したように、15円だ。
「ヘッド&ショルダー」の右の山(右の肩)の値幅分は、すでに下落していることにも留意する必要がある。
つまり、最低限のターゲットは、すでに達成している、という事実だ。これは、「赤の破線(両端矢印)」で表示している。
サポート・ライン(2)「ピンクの破線」を表示した。
(出所:ヒロセ通商)
115.00円近辺からの上昇は、このサポート・ライン(2)「ピンクの破線」に従っていた、と考える。
週足チャートを見てのとおりに、このサポート・ライン(2)「ピンクの破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
■改めて、上昇トレンドから下落トレンドに転換する可能性
1つ前の週足チャートのところで、すでに述べたのだが、復唱する。
ユーロ/円が、急落した理由に、「3月1日(木)のニューヨーク市場で、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに対して、輸入関税を課すと発表したこと」が挙げられる。
こういった米国の保護貿易が、新たな貿易戦争に発展するのではないか、といった懸念が広がっている。
米国が保護貿易に向かうことは、重大な事象であり、今後この課題(テーマ=米国の鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税)は、ユーロ/円相場を動かす重要な材料になる可能性がある。
「米国の保護主義」という政治的な材料で、ユーロ/円は、このところの最高値である137.50円近辺で、ピーク・アウトした可能性が出てきた。改めて、上昇トレンドから、下落トレンドに転換する可能性もある、と考える。
次は、日足チャートをご覧いただきたい。ユーロ/円は…
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