■ビットコイン価格は急落で反応するも倍返しで上昇
市場の反応はどうか。
深夜の発表を受けて、フィスコの株価は上窓を開けて始まった。市場は、Zaif買収を好感しているようだ。

(出所:Bloomberg)
肝心のビットコイン市場では、発表直後に2万円ほど急落したもののV字反転。全戻しどころか、倍返しとなり73万円手前まで上昇した。CBOE(シカゴ・オプション取引所)ビットコイン先物のSQがあった影響だと思われる。

(出所:TradingViewによるBTC/JPYチャート)
市場は、材料の重さを「CBOEのSQ>Zaif不正アクセス」と判断したことになる。
史上最大の仮想通貨盗難となったNEM流出事件をはじめ、仮想通貨の世界では巨額の盗難が相次いでいる。今月(9月)もモナコインのウォレットサービスで不正アクセスによる盗難が起きたばかりだ。
仮想通貨投資家は、「不正アクセス耐性」が備わりつつあるのかもしれない。
■上半期、消えた仮想通貨は605億円
警察庁によれば、2018年上半期の仮想通貨盗難事件は158件、605億円だ。
そのうち580億円がNEM流出事件だとしても、25億円もの仮想通貨が大きなニュースとなることもなく盗まれたことになる。

※1つのアカウントから、異なる仮想通貨が流出したケースもあるため、上のグラフの数字を合計すると、総件数の158件を上回っている ※警察庁調べ
NEM流出事件以降、金融庁は、仮想通貨取引所の新規登録審査を棚上げし、既存業者への検査を進めていた。危うい取引所へは行政処分を発出し、登録取り消しや大手資本に買収させることも辞さない強い姿勢でのぞみ、投資家保護を求めてきたのだ。
【参考記事】
●業界激震! bitFlyerなど6社に業務改善命令。ザイFX!が発見した6社の共通点とは?
●総資産が553%も拡大した仮想通貨業界に課題。金融庁の登録審査は、より厳格化の流れか
来月(10月)にも業界団体が認定され、自主規制ルールが施行され、やっと正常化へ――そんなメドが立ったところでのカウンターパンチとなった今回の事件。
投資家への影響は、フィスコが早期に支援を表明したことで軽微で済みそうだ。誰よりも深いため息をついているのは、金融庁かもしれない。
(編集担当:向井友代[ザイFX!副編集長])
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)