■ジャクソンホールでFRB議長の「失言」再び?
米利下げの今後を占う上で注目されているのが、22日(木)から始まるジャクソンホール・シンポジウム(※)ですね。
(※編集部注:「ジャクソンホール・シンポジウム」とは、米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される、カンザスシティー連銀主催の年次経済シンポジウムの通称。世界中の中央銀行総裁や金融関係者の多くが参加するイベントのため、毎年、市場参加者から高い注目を集めている。ジャクソンホール会議と呼ばれることも)

冬場は全米屈指のスキーリゾート地としても知られる米ワイオミング州のジャクソンホール。ここで毎年夏に行われるジャクソンホール・シンポジウムは、2010年にバーナンキFRB議長(当時)が金融緩和を示唆したこともあって、近年、為替市場で非常に注目されるイベントとなっている (C)ullstein bild/Getty Images
ジャクソンホールが注目されるのは、金融政策のビッグチェンジを予告する場として利用されてきた経緯があるためです。
2010年には、当時のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が金融緩和を示唆して円高が進みましたし、2014年には、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁も金融緩和の予告の場としてジャクソンホールを使いました。
今回も、パウエルさんが何を話すのか、注目度が高いですね。トランプ米大統領から1%の利下げ圧力をかけられていますが、突っ張るのか、追随するのか。パウエルFRB議長の講演は23日(金)です。
市場との対話が得意ではなく、7月FOMC(米連邦公開市場委員会)でも利下げサイクルの開始ではないとの「失言」があったパウエルさんですから、今回も下手なことを言うと、市場が過敏に反応する可能性があります。

トランプ米大統領から1%の利下げ圧力をかけられているパウエルFRB議長の講演は23日に予定されている。7月FOMCでも失言があっただけに、下手なことを言うと市場が過剰版のする可能性も… (C)Bloomberg/Getty Images News
■9月FOMCの利下げ幅は25bpか?50bpか?
次回のFOMCは9月17日(火)~18日(水)。利下げはほぼ確実だと思いますが、見方が割れているのが利下げ幅ですね。25bp(0.25%)予想が主流だと思いますが、50bp(0.5%)を予想する人もいます。
金利先物市場を見ると、先週末(8月16日)時点で50bpの織り込みは33%。先々週(8月5日~)などと比べると低下していますし、まだ低い印象。視野を広げて来夏(2020年夏)までだと、市場は1%以上の利下げを織り込んでいます。
短期的には9月の利下げ幅が重要なのですが、長期的な流れには関係ないとも言えます。
今週(8月19日~)は、米国・ユーロ圏・オーストラリアで、それぞれの議事録も公開されますね。とくに、21日(水)公開のFOMC議事録(7月開催分)では、今後の利下げについてどんな議論が交わされたのか、注目されています。米株市場の反応も含めて、気をつけておきたいイベントですね。
■進まぬ米ドル安にトランプ大統領はイライラ?
他通貨を見ると、先週(8月12日~)はドイツGDPの悪化もあり、ユーロ/英ポンドが下落して、英ポンド全般が上昇。さらに、ユーロ/米ドルでも米ドル高が進んだことから、ドルインデックスは上昇しました。

(出所:TradingView)

(出所:Bloomberg)
トランプさんが望んでいるような米ドル安は、進んでいません。イライラしているかもしれないですね。
利下げしたとはいえ、他国よりも高金利ですから仕方ないですよね。米ドル安を実現するには、9月に50bp利下げするような大胆な政策が必要なのかもしれないですね。
為替市場と直接の関係はないかもしれないですが、香港の民主派デモも、出口が見えなくなっています。中国の武装警察部隊が深センに集結し、武力鎮圧の影がチラつき始めました。
いずれにせよ、米ドル/円の戻り売り方針は変わりません。公的な買いが入っていると言われる105円台で大きく利食いしたポジションぶんを、今週(8月19日~)の戻り局面で再び売っていきたいと思います。

(出所:TradingView)
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