■一瞬だけ登場した破格スプレッドの末路
もはやデスレースの様相を呈していたスプレッド競争だったが、SBI FXトレードの米ドル/円0.1銭原則固定の発表を境に様子は一変する。ここまでは、ほぼ縮小一辺倒できていたが、逆に拡大へと動くFX会社が出始めたのだ。
たとえば、期間限定キャンペーンで米ドル/円スプレッド0.2銭原則固定を提供していた外為ジャパンFXも、キャンペーンスプレッドを0.3銭原則固定へ拡大。
また、2013年7月になると2012年5月の新規参入以来、スプレッド縮小競争の主役であり続けたSBI FXトレードも米ドル/円1万通貨までのスプレッドを0.1銭原則固定から0.29銭原則固定へ拡大し、その他の通貨ペアについても一斉に拡大することを発表した。
翌8月には、GMOクリック証券[FXネオ]まで米ドル/円スプレッドを0.3銭原則固定から0.4銭原則固定へと拡大…。少し遅れて、2014年6月に入ってからDMM.com証券[DMM FX]も0.4銭原則固定へと拡大していた時期がある。
まさか、このままズルズルとスプレッド拡大に踏み切るFX会社が増え続けるのか?とも思われたが、ほどなくこの流れはストップ。
おもなところでは、米ドル/円1万通貨までのスプレッドを一時0.29銭原則固定にまで拡大したSBI FXトレードが、2013年10月に0.27銭原則固定へ縮小。また、GMOクリック証券[FXネオ]は12月の段階で0.3銭原則固定へ縮小し、遅れて拡大に動いたDMM.com証券[DMM FX]は、2014年10月の段階で再び0.3銭原則固定に縮小している。
ただ、スプレッドが再び縮小されたとはいえ、SBI FXトレードで言えば過去最狭の0.1銭原則固定に戻されることはなかったし、他のFX会社についても、0.3銭原則固定からさらに縮小しようという動きは見られなくなってしまった。
さらに、拡大という一時的な逆行現象が収まった2014年~2015年にかけて、取引量によってスプレッドが変わるSBI FXトレードを除くと、DMM.com証券[DMM FX]やGMOクリック証券[FXネオ]を筆頭とした「米ドル/円スプレッドは、0.3銭原則固定が業界最狭」という構図が明確になり、そこに照準を合わせて0.3銭原則固定を採用するFX会社が一気に増加したのだ。
一般的に、相場も行きつ戻りつを繰り返し、ときにオーバーシュートしながらも徐々に適正水準を探っていくものだが、FX業界のスプレッド競争も、まさにそんな感じだった。行きつ戻りつの結果、米ドル/円スプレッドにおいては、このあたりで「0.3銭原則固定」という強力な抵抗線が引かれたように思う。
そしてこの状況は、ここから直近のスプレッド競争に至るまで、実に5年ほど続くことになる――。
【参考記事】
●ザイFX!で2014年を振り返ろう!(3)【業界:前編】BO再燃と熱いスプレッド競争
時期 | スプレッド競争に関連する おもなできごと |
2013年5月 | ・外為ジャパンFXが米ドル/円のキャンペーンスプレッドを0.2銭原則固定→0.3銭原則固定へ拡大 |
7月 | ・SBI FXトレードが米ドル/円通常スプレッドを0.1銭原則固定→0.29銭原則固定(1万通貨まで)へ拡大。その他の通貨ペアについても一斉に拡大 |
8月 | ・GMOクリック証券[FXネオ]が米ドル/円通常スプレッドを0.3銭原則固定→0.4銭原則固定へ拡大 |
10月 | ・SBI FXトレードが米ドル/円通常スプレッドを0.29銭原則固定→0.27銭原則固定(1万通貨まで)へ縮小 |
12月 | ・GMOクリック証券[FXネオ]が米ドル/円通常スプレッドを0.4銭原則固定→0.3銭原則固定へ縮小 |
2014年6月 | ・DMM.com証券[DMM FX]が米ドル/円通常スプレッドを0.3銭原則固定→0.4銭原則固定へ拡大 |
10月 | ・DMM.com証券[DMM FX]が米ドル/円通常スプレッドを0.4銭原則固定→0.3銭原則固定へ縮小 |
~2015年 | ・各社が次々と「0.3銭原則固定」に照準を合わせて米ドル/円通常スプレッドの縮小を実施 |
※ザイFX!編集部作成
この間にも、超短期のキャンペーンスプレッドなどで一時的に0.3銭原則固定よりも狭いスプレッドを提供するFX会社はあったが、それは一過性の施策に過ぎなかった。
取引量を問わず、継続的に0.2銭原則固定や0.1銭原則固定を提供するFX会社は現れず、暗黙のうちに「米ドル/円スプレッドは0.3銭原則固定が限界」という認識が業界内に広まっていった印象だ。
■米ドル/円0.2銭原則固定の出現がきっかけに
ところが、5年あまりの膠着状態を打ち破って、2019年9月末、米ドル/円スプレッド0.3銭原則固定という強力な抵抗線に単騎で挑むFX会社が現れた。ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]である。
ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]が掲げた米ドル/円スプレッドは、0.2銭原則固定。

2019年7月の段階でSBI FXトレードが1,000通貨までの取引限定で実現していたとはいえ、そうした取引量やキャンペーンなどの制限を設けない通常スプレッドとしては、これまでにほとんどなかった画期的な水準だ(※)。
(※スプレッドが提供される取引量に制限はないが、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]の場合、1,000通貨コース(2019年11月1日からの新コース名:標準コース)であれば1注文あたり100万通貨までという1注文当たりの発注上限は存在する)
ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]は、2018年末に実質的オーナーが変わり、2019年4月からはFXトレード・フィナンシャルからゴールデンウェイ・ジャパンと社名も変更。当初、オーナーと社名に変更はあっても、サービス内容に大きな変更はないものと見ていたが、いい意味で裏切られることになった。
ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]が米ドル/円スプレッドを0.2銭原則固定に縮小したのは、2019年9月25日(水)。この時、取引量によってスプレッドが変わるSBI FXトレードを除外して考えると、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]は米ドル/円スプレッドにおいて単独首位に躍り出たことになる。
それと同時に、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]のこの動きが、直近のスプレッド競争の1つのきっかけになったと言えそうだ。
そこから3週間ほどは、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]単独首位という状況が静かに続いたのだが、10月15日(火)になって楽天証券[楽天FX]が期間限定のキャンペーンスプレッド(11月23日まで)として米ドル/円スプレッドを0.2銭原則固定に縮小すると様子が一変。加速度的にスプレッド競争が進んだ。
まず、10月15日(火)夕方から夜にかけて、GMOクリック証券[FXネオ]、外為どっとコム[外貨ネクストネオ](11月23日までのキャンペーン)、DMM.com証券[DMM FX]、外為ジャパンFX、YJFX![外貨ex]が米ドル/円スプレッドを0.3銭原則固定から0.2銭原則固定へ縮小。
次いで、翌10月16日(水)には、トレイダーズ証券[みんなのFX]と[LIGHT FX]、FXブロードネットが米ドル/円スプレッドを0.3銭原則固定から0.2銭原則固定へ縮小した。しかも、トレイダーズ証券については、通常スプレッドの縮小と同時に米ドル/円スプレッドを0.1銭原則固定にするキャンペーン(11月29日まで)もスタートしたのだ。
これを受けて、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]は、10月16日(水)中に、米ドル/円スプレッドを新業界最狭水準となる0.1銭原則固定まで縮小している。

【参考記事】
●10月15日の異変!? ドル/円0.2銭原則固定へ!「連鎖的スプレッド縮小騒動」の衝撃
●「連鎖的スプレッド縮小騒動」続報。米ドル/円はついに0.1銭原則固定へ!
断っておくが、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]が提供しているのは、一般的に通常のFX口座よりもスプレッドが広めであることが多いメタトレーダー4(MT4)口座だ。
通常のFX口座のスプレッドとして業界最狭水準であることはもちろんだが、広めであることが多いメタトレーダー4(MT4)口座としては、もはや破格の水準と言える。
【参考コンテンツ】
●メタトレーダー4(MT4)が使えるFX会社徹底比較![取引コストで比べる]
■通常スプレッド0銭の可能性も!?
ちなみに、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]は2019年9月のスプレッド縮小と併せて「日本 No.1 最狭スプレッド挑戦計画」を発表している。

この計画、具体的には、米ドル/円、ユーロ/米ドル、ユーロ/円、豪ドル/円、英ポンド/円の主要5通貨ペアについて、ゴールデンウェイ・ジャパンが定めた条件・基準に基づく調査の結果、他のFX会社がゴールデンウェイ・ジャパンよりも低スプレッド水準にあることが判明した場合は、「原則として、すみやかに最狭ないし同等のスプレッド水準を回復すべく、予め定めた手順に従い、対象通貨ペアの売買スプレッドを縮小」するというものだ。
つまり、2019年9月末に発表されたスプレッドでも十分、低スプレッドであるにも関わらず、他のFX会社の動向次第で、ここからさらにスプレッド縮小に踏み切ると宣言している。
今回、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]が、各社の追随を受けてすぐさま米ドル/円スプレッドを0.1銭原則固定へ縮小した背景には、この計画があったというワケだ。
今後、0.1銭からさらに縮小されるとは考えにくいものがあるが、場合によってはスプレッド0銭が採用される、なんてこともあるのかもしれない!?
なお、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]が、計画に基づき「最狭ないし同等」のスプレッド水準回復に向けて動く具体的な条件などは、以下の【参考記事】で紹介しているので、詳細を知りたい場合はそちらで確認を。
【参考記事】
●「連鎖的スプレッド縮小騒動」続報。米ドル/円はついに0.1銭原則固定へ!
■次代のスプレッド競争をけん引するのは?
さて、ここまでおもにFX業界のスプレッド競争の歴史、特に米ドル/円スプレッドを中心に、ここ数年の変遷をたどってきた。
昨今では、主要通貨ではなくトルコリラ/円やメキシコペソ/円といった人気高金利通貨ペアのスプレッド競争やスワップポイント(スワップ金利)競争が目立っていたが、ここへ来て再び米ドル/円のスプレッド競争が熱を帯びてきている。
過去のスプレッド競争では、DMM.com証券[DMM FX]やGMOクリック証券[FXネオ]、また、若干特殊なサービスではあるものの、後発組のSBI FXトレードなどが、そのけん引役となってきた。
今回はどうだろう?
もちろん、それらの会社も注目ではあるものの、難しいと思われた米ドル/円スプレッド0.3銭原則固定の壁を真っ先に打ち破るとともに「日本 No.1 最狭スプレッド挑戦計画」を掲げ、現在、通常スプレッドとして唯一0.1銭原則固定を採用しているゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]などは、新たなけん引役として注目の1社だろう。
次代のスプレッド競争をけん引するのは、これまでスプレッド競争をけん引してきたFX会社ばかりではない――そう頭に入れておきたい。
(文/ザイFX!編集部・向井友代)

【ザイFX!編集部からのお知らせ】
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![ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]のザイFX!限定タイアップキャンペーンイメージ画像](/mwimgs/7/8/-/img_78e45ca56575093941ed28802f745f6560478.jpg)
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詳しくは、ゴールデンウェイ・ジャパン[FXTF]の公式ウェブサイトなどでご確認ください。
(※各種キャンペーンの詳しい条件、期間などについては、ゴールデンウェイ・ジャパンのウェブサイトなどで必ずご確認ください。キャンペーン条件が変更されたり、キャンペーン期間が延長されたり、キャンペーンが終了したりすることなどがあります)
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