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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル安となる環境が完璧に整いつつある!
大統領再選には、対中国強硬姿勢しかない

2020年07月29日(水)13:15公開 (2020年07月29日(水)13:15更新)
志摩力男

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■ポンペオ米国務長官、中国共産党を痛烈に批判

 7月23日(木)、ポンペオ米国務長官は、カリフォルニア州ヨーバリンダにあるニクソン・ライブラリーにおいて、「共産党中国と自由世界の未来」と題する演説を行い、中国共産党を痛烈に批判しました。

【参考記事】
米ドル/円、104円台半ば抜ければ100円が見えてくる! 動き出せば下落余地は大きい(7月27日、西原宏一&大橋ひろこ)

 演説に選んだヨーバリンダは、米中国交回復を実現したニクソン元大統領の出身地。

 この地をあえて選んだことで、過去50年近く続いた米国の温情的な対中政策が転換することを、強く印象づけています。

 演説の内容は素晴らしく、「自由社会の盟主である米国には、こう言ってもらいたい」と我々が思うことのすべてが入っていました。それは、おもに以下のような内容です。

<ポンぺオ米国務長官の演説内容>

・ 習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ

・ 我々は米国経済、そして我々の生活様式を守る戦略を必要としている。自由世界は、この新たな専制政治に勝利しなければならない

・ 私たちは、活発な民主主義を実現した台湾の友人を疎外してきた

・ 米国の創造的自由の中心であるハリウッドでは、中国を刺激しないため自己検閲をしている

・ なぜ、我々はこのような悪行を許してきたのか。中国の狂暴な共産主義に対して甘かったのか。今日、中国は国内においてますます権威主義的になっている

・ 実際、我々の同盟国であるNATO(北大西洋条約機構)は、北京が中国市場へのアクセスを制限することを恐れ、香港に関しては必要な方法で立ち上がらなかった。これは歴史的な失敗につながる臆病さであり、同じことを繰り返すわけにはいかない

・ もし今、屈服すれば、私たちの子供たちは中国共産党に翻弄されることになる

■大統領再選には対中国強硬姿勢、これしかない!

 米国には、この方針から一歩も後退しないでもらいたい。切に願うところです。

 というのは、2018年10月4日(木)にペンス副大統領が「政権の対中政策」という素晴らしいスピーチを行いましたが、トランプ政権は「政治より貿易」を優先させたため、ウイグル族の方々の苦境は続き、香港民主化運動は抑圧され、国家安全法が適用されてしまいました。

 トランプ大統領は、中国の行動を黙認したと取られても仕方ないでしょう。今回も同様の疑念は残ります。

果たして、トランプ大統領は正しい政策を遂行するためにポンペオ国務長官に演説させたのか、それとも選挙対策上、有利と考えたからか――。

 7月16日(木)、トランプ大統領は自らの選挙対策の責任者を交代させました。

 ブラッド・パースケル本部長を解任し、後釜に対策本部のアドバイザー、ビル・ステピエン氏を昇格させたのです。

 それからまもなく、トランプ大統領はマスクをつけて登場し、そして今回のポンペオ国務長官演説となります。

選挙対策本部長の交代が、こうした変化をもたらしたのかもしれません。

 疑念は残りますが、トランプ大統領は「正しいスイッチ」を押しました。

おそらく、NYダウが3万ドルに上昇したとしても再選は難しい

そうであるならば、大統領再選には対中国強硬姿勢、これしかないと考えられます

【参考記事】
ついに、本格的に米ドル安相場始まるか! 中国がドル離れ!? 基軸通貨の地位が危うい(7月15日、志摩力男)

トランプ大統領写真

NYダウが3万ドルに上昇したとしても、トランプ大統領の再選は難しいと志摩氏は指摘。そうであるならば、大統領再選には対中国強硬姿勢しかないと考えられるという (C)Chip Somodevilla/Getty Images News

現在の横暴ともいえる中国は、オバマ前大統領の「戦略的忍耐」の結果でした。

副大統領であったバイデン氏にも、当然、責任はあります。

3回行われるテレビ討論会では、トランプ大統領は徹底的にこの点を突いて行くでしょう。

バイデン氏写真

現在の横暴ともいえる中国は、オバマ前大統領の「戦略的忍耐」の結果で、副大統領であったバイデン氏にも当然責任はあると志摩氏は指摘。3回行われるテレビ討論会で、トランプ大統領は徹底的にこの点を突いて行くとみられる (C)Scott Olson/Getty Images News

■武力衝突もやむなし!? その時、株価は急落する

 さて、2018年10月のペンス副大統領演説を聞き、「世界は変わる」と多くの人が思いました。

 そして、その2カ月後、米国株は急落しました。直接的にはFRB(米連邦準備制度理事会)による最後の利上げが原因ですが、背景として米中対立がありました。

【参考記事】
ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(2018年12月21日、今井雅人)
ファーウェイ事件に米利上げ打止め観測も。ドル/円は12月半ば以降下げやすく買い辛い(2018年12月11日、バカラ村)

NYダウ 日足(2018年10月~12月)
NYダウ 日足チャート(2018年10月~12月)

(出所:TradingView

 今回、米国はヒューストンにある中国領事館の閉鎖を命じ、それに対抗して、中国は成都にある米国領事館を閉鎖させました。

 こうした「ジョブ」の応酬は、今後も続くでしょう。この程度であれば、安心です。

 しかし、ポンペオ国務長官は、怯むなと言います。そうなると、将来的にどこかで限定的な武力の使用もあるかもしれません。

その時、株価はとてつもなく急落することになります。

 今すぐということはありませんが、一部研究機関は、武力衝突やむなしと考え始めています。

■米ドル安となる環境が完璧に整いつつある

 かつてのソ連と違い、中国は世界のサプライチェーン網にしっかり組み込まれています

 しかも事実上、中国は世界最大のマーケット。その世界最大のマーケットを失う事になったとしたら、企業にとって被害は甚大です。

 また、中国は対抗措置として、米国のもっとも弱い部分を突いてくるでしょう。米国の弱点は、世界最大の経常赤字国であるということです。

【参考記事】
ついに、本格的に米ドル安相場始まるか! 中国がドル離れ!? 基軸通貨の地位が危うい(7月15日、志摩力男)

 一方、中国は巨額の経常黒字国。中国の黒字が米国に還流するから、米長期債の利回りは低く抑えられます。

トランプ大統領は、コロナ発生の責任を取らせるため、中国が保有する米国債の利払いを停止する、もしくは元本支払いに応じないと発言しました。

 しかし、そうなると、中国は元本を取り戻せない可能性があるので、米国から資金を移動させることになります。

 今は、どんなに財政赤字を出しても、FRBがすべて買います。中国の資金還流がなくても、金利は上昇しない――。

 しかし、そんな都合の良いことが続くわけがありません。理論的には、通貨安となります。

 コロナ危機の時は、決済に米ドルが必要として、一時的に米ドルに対する需要が高まりドル高となりました。

 しかし、そうした危機的状況は終わりました。

FRBによる超金融緩和が経常赤字と相まって、加えて、中国の資金逃避も手伝い、米ドル安となる環境が完璧に整いつつあると感じます。

米ドル安に注意です。

【参考記事】
米ドルは状況が落ち着けば下落していく…。ゼロ金利は5年ぐらい続くのではないか?(7月8日、志摩力男)
対GDP比17.9%! 巨額の米財政支出で溢れたマネーが次は米ドル相場を押し下げる?(6月24日、志摩力男)

米ドルVS世界の通貨 週足
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