そして、GM破綻に伴い、相場は大きく荒れた。
■GM破綻を材料に「ドル売り/円買い」が進んだ東京市場
まずは、米ドル/円の1時間足チャートを見てください。
週明け6月1日の東京市場の米ドル/円は、95.45-50円レベルでオープンした(東京市場のオープン時間は、東京時間朝9:00)。
上に示したチャートを見ればわかるように、6月1日のドル/円は大きく上下動した。大きく下がった後に大きく反発し、さらに大きく下落したのだ。
東京市場の朝方は、GMが日本の民事再生法に相当する「チャプター・イレブン(連邦破産法第11条)」を申請して倒産するということを材料に、「ドル売り/円買い」が進んだ。東京市場のオープンから1円程度弱含み、94円台ミドルまで下落した。
■94円台ミドルから96円台ミドルへ「棒上げ」した海外市場
ロンドン市場では、大きく反発した。
ロンドン市場の朝方に94.40-45円のこの日の安値をつけた後、急激に反騰し、午前中のうちに95円台まで戻して、東京市場朝方の水準にまで値を戻した。
ニューヨーク市場においても、そのままの勢いで朝方から急上昇しており、95円台から96円台ミドルまで一気に担ぎ上げた。
1時間足チャートを見れば「棒上げ」だったことが理解できる。
■オバマ大統領の声明は予想どおりで、ノーサプライズ
その後、ニューヨーク市場の昼前頃からは、96円台ミドルの高値圏での上下動小動き(高値保ち合い)の様相を呈した。オバマ米大統領の声明を待つ形となったためだ。
大統領の声明は「GMは倒産したけれど、アメリカは大丈夫。これからもがんばりましょう」といった、おおむね市場参加者の予想に沿った内容だった。
サプライズはなかったが、これを受けたニューヨーク市場午後の取引においても、96円台ミドルでの「高値保ち合い小動き」が続いた。結局、そのままでニューヨーク・クローズを迎えた。
なお、翌6月2日は「イベント終了後(=GM破綻が発表された後)」といった雰囲気で、垂れ下がっている。
■目の前で起きている現実だけを認める態度が正しい!
6月1日のような値動きをされると、いい加減、嫌になってくる。意図的な売買が、大手を振ってまかり通るからだ。
しかし、それもマーケット(相場)。
事実上の値動き(目の前で動いている値動き)だけがマーケット(相場)で、目の前で起きている現実だけを認める態度が正しいのだ。
ただ、目先、無理が通って、道理が引っ込んだとしても、最終的には、道理に戻る。
GM破綻に伴うマーケットへの悪影響を回避するために、水面下で、米国は政治的に動いているのだろう。具体的に、どのような形で動いたのかは明確に答えられないが、そういったことがあったということは、どう見ても事実だろう。
■6月1日の値動きは中央銀行の「介入」によるものか?
6月1日の1時間足チャートを見れば、「棒上げ」だったことが理解できる。そして、この「棒上げ」の動きは、中央銀行が「介入」した時の値動きによく似ている。
「中央銀行、または政府の資金を使って、意図的に相場を操作する」が「介入」の定義であるので、6月1日の値動きは、厳密には「介入」ではないのだろう(公表されていないだけで、米国の「介入」の可能性も残っている)。
定義上(公式上・オフィシャル上)、「介入」でないとしても、それにかなり近い類の行為が行われていることは間違いない。
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