米ドル/円に関しては、これまでに書いてきたことの復唱となる。前回のコラムから、基本的な考え方は変わっていない(「歴史的安値79.75円も見えてきたドル/円。ここで買うなら相場をやらない方がよい!」を参照)。
トレンドは「米ドル安・円高」が続いていると考える。
この「米ドル安・円高トレンド」は、2007年6月に始まり、もう3年以上も持続・継続していることになる。
ここ15年ほどの相場を見ていると、トレンドは2~3年周期となっている。だから「そろそろ、トレンド転換があってもよいのではないか?」と考える人が増え、今後ますます増えてくることも理解できなくはない。
しかし、もう少し長い期間で米ドル/円の値動きを振り返ると、トレンドが5年以上続いたケースもあった。
その事実を踏まえると、「そろそろ、トレンド転換があってもよいのではないか?」と考えるのは、とても危険だ。
個人的には、セオリーどおりに、かたくなに対応したいと考えている。
つまり…
・明確なトレンド転換のシグナルがない限り、現在のトレンドが持続する
・トレンド転換の時期を、アテ推量で期待しない
・相場は必ず明確なシグナルで、トレンド転換を教えてくれる
だから…
・明確なトレンド転換のシグナルを見落とさないように注意深く見る
…ということになる。
足元の米ドル/円は下攻め、すなわち、米ドル売りをトライしたが、87.00円近辺でサポートされ、反発している状況だ。
また、夏休みシーズンに突入して、市場参加者のやる気(モチベーション)が徐々に失せている印象もある。
例年ならば、7月4日(米国独立記念日)から8月最終週の月曜日(ロンドンのレイト・サマー・ホリデー)までが、外国為替市場の夏休みシーズンとなる。
だが、今年はサッカーのワールド・カップがあった。そのため、夏休みのスタートが遅れるかと思っていたのだが、マーケットの雰囲気は、やる気(モチベーション)があまりなさそうに映る。
■トレンドは「米ドル安・円高」が続いている
さて、まずは、米ドル/円の月足チャートからご覧いただきたい。
月足チャートで、過去の値動きを確認する。
米ドル/円は、上昇する際にはサポートラインの上にあり、下落する際にはレジスタンスラインの下にあることがわかる。チャートでは、サポートラインとレジスタンスラインを緑の破線で表示した。
この月足チャートは1995年からのものだが、それ以前のチャートを見ても前述のことが確認できる。
チャートを見ると、現在の米ドル/円は緑の破線のレジスタンスラインにアタマを抑えられており、これは、米ドル/円のトレンドが「米ドル安・円高」を続けていることになる。
また、月足チャートを見ると、下値は2009年11月につけた84円台後半であることが読み取れる。その下には、歴史的な安値である80.00円(正確には79.75円)も控えている。これをチャートには青の水平線で表示した。
一方、長期のレジスタンスラインをピンクの破線で表示したが、当面のところ、このピンクの破線は目先の売買には関係ないと判断している。
もちろん、長期のスパンでは、このラインをいずれ考える必要が出てくる時が来るのだろう。
■週足で見ると「ウェッジ」を形成している
続いては、米ドル/円の週足チャートをご覧いただきたい。
米ドル/円のトレンドは、引き続き「米ドル安・円高トレンド」だと判断している。
現在のレジスタンスラインは、チャートに緑の破線で示した。
一方、2009年11月につけた直近安値の84円台後半を、チャートにピンクの水平線で示した。
すると、週足チャートで見た場合、現在の米ドル/円が緑の破線とピンクの水平線によって、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成していることがわかる。
「三角保ち合い(ウェッジ)」が形成される場合、緑の破線を上抜けたら「買い」、ピンクの水平線を下抜けたら「売り」となり、いずれ、必ずどちらかに抜けて「買い」または「売り」のシグナルを発することになる。
それは時間の問題で、必ずどちらかに抜けることになるが……
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