現状のマーケットでは、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長の提案する、米政府による金融安定化策(75兆円の公的資金投入)が、議会承認を受けることができるか否か、に注目している。
バーナンキFRB議長は、9月24日の議会証言で、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金を投じる金融安定化策は、「中期的により強いドルを実現するためには最善の戦略だ」と述べた。
同席したポールソン財務長官もバーナンキFRB議長の発言に、「同意する」と述べた。
まずは、金融安定化策(75兆円の公的資金投入)は議会を通過するだろう、と考えている。
しかし、75兆円もの巨額の政策を、簡単に取り決めてよいわけでもない、と考えている。
■ポールソンとバーナンキはドル急落を恐れている
また、マーケットでは、この金融安定化策が実行されることが前提になっている(それはないだろう、と考えるが、この金融安定化策が否決された場合は、ドルの急落をもたらすだろう)。
まずは、この政策が、議会を通過して、さらなる政策が、どのように発表されるかを見なければならない。
ポールソン氏、バーナンキ氏は、ドル急落を恐れている。換言すれば、その可能性に気が付いて、なんとかそれを食い止めたい、と考えているものと推測する(彼らは、それが米国の国益になる、と考えていることがうかがわれる)。

■金融安定化策がすべてを好転させるわけではない
ただし、金融安定化策(75兆円の公的資金投入)が、すべてを好転させるわけではないことにも留意しておくべきだろう。
それが、実行されても、損失拡大を止めるだけで、米国の景気が回復したり、インフレ懸念がなくなるわけではない。
今のマーケットは、金融安定化策(75兆円の公的資金投入)の議会通過を待っている。
それゆえに、目先の「にらみ合い」状態が続いている。
(ザイFX!編集部注:緊張下にある米国経済情勢をふまえ、本日は松田哲氏のコラムを2本掲載しています。もう1本はこちら! → 「原油価格の乱高下に揺さぶられるユーロ/ドル。現在のトレンドはユーロ売りドル買いだ!」
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