8月7日(金)に発表となった米国の雇用統計は、予想外に良い結果となりました。
発表された7月の失業率は9.4%で、事前予想が9.6%だったので、マーケットは「米ドル買い」に反応しました。

また、7月の非農業部門雇用者数はマイナス24.7万人で、事前予想はマイナス32.8万人だったので、この数値も予想外に良い数値となり、マーケットの「米ドル買い」を助長しました。
■米ドル/円が97円台後半まで上昇した理由は?
米国の雇用統計の結果発表後、米ドル/円は跳ね上がりました。
発表前は95円台前半で推移していましたが、結果発表を受けて、すぐに96円台前半程度へ跳ね上がりました。
米国の重要経済指標の発表後に、為替相場が大きく変動することはよくあります。「米国の雇用統計」は、その典型例だと思います。
しかし、重要経済指標の発表によって相場が動くのは、通常では30分程度です。短い場合は10~15分程度で、長い場合でも、1時間程度でその影響は収まります。
ところが、8月7日(金)の米国雇用統計の発表後は、2~3時間にわたって相場が動き、結局、97円台後半まで上昇しました。
通常ならば、結果発表から1時間程度でマーケットに織り込まれるのですが、「夏休み相場」で市場参加者が極端に少なくなっているため、発表から1時間程度では消化できなかったということなのでしょう。
ちなみに、米国雇用統計の結果発表後の2~3時間の値動きは、典型的な「ショート・スクイズ(※このページの下部に用語説明)」だと考えています。
■「夏休み相場」でもポジションを持ちたいならば…
足元のマーケットは、典型的な「夏休み相場」です。
そして「夏休み相場」は、今年の場合は8月31日(月)まで続きます。
用語説明【ショート・スクイズ】(Short Squeeze)
ドルを売った状態にしておくことを英語ではドル・ショート(Dollar Short)という。ドルを売った、その持ち高はポジション(Position)という。
だから、ドルを売りの持ち高に傾けておくことをドルの「ショート・ポジション」と呼ぶ。
何かしらのことを理由に、先行きの相場の見通しを立てることを「思惑(おもわく)」という。多くの人達が「思惑(おもわく)」でドルを「ショート」にしている場合に、その「思惑(おもわく)」とは逆に相場が動き出してしまうことがある。
「思惑(おもわく)」と逆に動けば、損失が出る。ドルを「ショート」のままにしていると、ドルが上がれば上がるほど損失が膨らむことになる。
だから、多くの人たちがその損失に耐え切れなくなって、いっせいにドルを買い戻すようなことが起こる。
このように、「損切り(ロス・カット、Loss Cut)」を巻き込みながら、「思惑(おもわく)」のドルの「ショート・ポジション」を絞り出すように、ドルが上昇することを、特に「ショート・スクイズ」という。
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