仮に、ドル安円高が大幅に進むためには、ドル安だけではなく円高の要因が必要になってくるのです。しかし、ドル/円が急激に下がると言っている人にはこうした観点が抜けています。
■ドルを中心に考える時代は終わっている
私が銀行でディーリング業務に携わり始めたのは1987年です。この年は、プラザ合意の2年後でブラックマンデーがあった年です。当時、日本にいる為替ディーラーの大半がドル/円かドル/マルクしか取引していませんでした。
為替ディーリングといえば、ドルを基軸とした主要通貨の取引を指していました。当時の相場はアメリカの要因で動くことが多かったので、みんなアメリカのことばかり見ていました。
しかし、それから20年以上が経過し、世界は大きく変わっています。アメリカの地位は大きく低下し、新興国が台頭してきています。今や、ドルを中心に考える時代は終わっているのです。世界は多極化し、ドルを中心とした発想だけでは今の世の中は読みきれないのです。
■古い既成概念は捨て、時代の変化をしっかりとらえることが大切
「わからないものには手を出さない」という専門家がよくいます。確かにこれは正しいし、大切なことです。
しかし、最初からよくわかるものを持っている人などいません。誰でも最初は初心者です。わからないから手を出さないなどと言っていたら、いつまで経っても進歩しませんし、世の中の流れにもついていけません。世界は常に変化しているのです。
たとえば、企業でもこれから新興国でのビジネスが伸びることがわかっているのに「いや自分はアメリカで勝負をし続けるのだ」と固執していれば、それこそ、その企業は世の中から取り残されてしまいます。
わからなければ、勉強すればいいのです。そして、挑戦してみることです。そうしたら、いろいろなことがわかるようになってきます。
たとえば、今、ロシアルーブル、東欧のチェココロナ、ポーランドズロチ、ハンガリーフォリントなどはずっと強くなり続けています。こうした通貨に目をつけていた投資家は、ほぼ何も苦しむことなく相当儲かっているはずです。為替相場は世界情勢の変化を示す羅針盤なのです。
私は、とにかく常に成長したいといつも思っています。だから、いろいろなマーケットを勉強し、いろいろなものへの投資に挑戦したい。それが自分の成長をもたらすと考えているからです。
昔から相場に取り組んでいる人は古い既成概念を捨て、自分が長く携わってきたものへのノスタルジーから脱却する必要があります。そして、時代の変化をしっかりとらえていく発想を持つことが今の時代には求められているのではないでしょうか。
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