ところで、今回の円一段高のきっかけは資源国通貨の急落でした。この資源国通貨については、前回のレポートで、短期的に「上がり過ぎ」懸念がかなり強く、その反動が出る可能性があることを指摘しました(「雇用統計ショックで『資源バブル』破裂?円全面高は資源国通貨反落から始まる!」参照)。
資源国通貨は実際に急落しましたが、豪ドル/円を例に挙げると、一時の80円から70円近辺まで急落しました。
それでは、割高で買いにくかった豪ドルが、この急落で割安になったとして、買えるようになったと判断できるものでしょうか?

1つ気になるのは、豪ドルが「買われ過ぎ」がかなり懸念される水準になっていた可能性が高いということです。
■「買われ過ぎ」の豪ドルは上がらない?
CFTC(米国商品先物取引委員会)の統計はヘッジファンドなどの売買(ポジション)を反映しているとされていますが、それによると、豪ドルは足元で3万枚を大きく超えるロング(買い持ち)になっています。

2006~2008年には、豪ドルのロングが8万枚を超えたこともありました。この点を考慮すると、3万枚を超えたからと言って「買われ過ぎ」ということではないでしょう。
ただし、2006~2008年は「信用バブル」とされ、異常なリスクテイク局面と見られました。この2006~2008年を除くと、豪ドルが3万枚以上のロングとなったことは「買われ過ぎ」要注意と言えそうです。
「買われ過ぎ」気味になっていた豪ドルが、7月に入ってから急落したのですから、売り遅れた向きは少なくなかったのではないでしょうか?
そうでなくても「買われ過ぎ」気味ということは、さらなる買い余力は限られるのではないでしょうか?
そうであれば、円安へ大きく戻すことは難しいと考えています。
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