従来、ドル/円(USD/JPY)をロング(買い持ち)にしていた場合は、ドル金利の方が円金利よりも高かったので、その金利差を享受できたが、今後は、ドル/円を買っている場合は、金利差を支払うことになる。
このことは、これからドル/円を買う場合はもちろんのこと、すでに、ドル/円を買っているすべてのポジションに当てはまる。
■ドル/円のロング・ポジションを保有し続ける根拠がなくなった
2007年6月以降、ドル/円は、124円台から、現在(2008年12月)に至るまで、『ドル安円高』のトレンドが継続している。この期間の中で、現在(2008年12月)が、88円だから、ドル/円は最安値にある。

この期間中に作られて、現在に至っているドル/円のロング・ポジションは、すべて、含み損状態であり、現時点からは、金利差を支払う状態になった。
含み損状態のドル/円のロング・ポジションは、いわゆる「スワップ金利」を受け取れるから、それを保持し、いずれ相場が反転した時に、そのポジションを売ればよい、といった考えで保有し続けられていた。
しかし、これで、含み損のドル/円のロング・ポジションを保有し続ける根拠もなくなった。
これで対ドルベースの『円キャリー・トレード』は、完全崩壊した。
■88円はまだ下落の途中。ドル/円はまだまだ下がる
今、現在は、まだ、過去に作られた『円キャリー・トレード』のポジションが残っている。それらのポジションは、これから損切りを余儀なくされることになるだろう。
これから、もう一段の「ドル売り円買い」が出てくるものと想定している。
今月(2008年12月)になって、88円台に2回急落している。その内の1回は、昨日(12月16日)だが、これらの急落にセリング・クライマックスの雰囲気はない。

別な言い方をすれば、ドル/円の88円台は、まだ下落過程の途中にある、と考える。
セリング・クライマックスの場合は、もっと激しい損切りの売買が伴う。含み損状態のドル/円のロング・ポジションが、大量に残っている状態では、セリング・クライマックスにならない。
つまり、下落状態が持続すると考えられる。
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