7月2日に発表された6月の米国雇用統計は、市場予想よりも悪い結果となりました。これを受けて、原油価格反落の動きが広がりました。
資源国通貨・資源価格「ミニバブル」の背景には、「100年に一度の危機」といった超悲観論の反動があり、その象徴的議論が「米国の年内利上げ説」と言えます。
従って、6月の米国雇用統計の悪化を受けて、「雇用統計ショック→米国の年内利上げ説が消滅→資源バブル破裂」となる可能性は十分にあるでしょう。
■足元の資源高は「バブル」なのか?
ただ、頭の片隅では、「石橋を叩く」ほど慎重になることの必要性も認識しています。それは、「ひそかに」ではありますが、これまで述べてきた資源国通貨・資源価格高が、足元が「バブル」の状況にあるのではなくて、「バブル破裂」の結果なのかもしれないということです。
「100年に一度の危機」とされた中での米国の金利動向が、そういったことを気にかけさせます。
下図は、米国の長期金利(10年債利回り)の90日移動平均線からのかい離率ですが、2008年12月には90日移動平均線を4割も下回っていて、これはかつてない動きです。つまり、「異常」現象であって、「バブル」のように見えます。

2008年12月に、米国の金利は「下がり過ぎ」の「バブル破裂」が起こっています。つまり、足元の70ドルにまでリバウンドした原油価格が、この「バブル破裂」の結果であるという見方もできると思います。
それから半年ちょっとで、今度は米国の金利「上がり過ぎ」の「バブル破裂」が起こるということは、果たしてあるのでしょうか?
■資源価格高が当面の天井を打っていない可能性も!?
通常ならば「バブル破裂」は2~3年程度続くものですから、その意味では、最近の米国の金利「上がり過ぎ」は、米国の金利「下がり過ぎ」バブル破裂の範囲内である可能性も捨て切れません。
もしそうだとしたならば、米国の金利はまだ当面の天井を打っておらず、そして資源価格も資源国通貨も、当面の天井を打っていない可能性があります。
従って、クロス円にサポートされた円一段高が、まだすぐに起こらない可能性というのも、あり得ない話ではないと思います。
今のところ、その可能性は低く、杞憂に過ぎないだろうと思っていますが、もしも円高の足踏みがまだ続くようならば、そのような可能性も考える必要があるのではないかと思っています。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)