米国の大手証券会社にゴールドマンサックスという会社があります。
彼らは、今回のサブプライムローン問題を事前に予測し、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などのデリバティブ商品を使って、市場が混乱するほうにリスクを傾けて勝負を挑みました。その結果、他の金融機関がサブプライムローン関連で巨額の損失を出している中で、ゴールドマンサックスほぼ一人勝ちの状態となりました。
さすが、天下のゴールドマンサックスです。この証券会社は政財界に太いパイプを持って、常に人の知らないような情報を調べています。今のポールソン米財務長官、ルービン元米財務長官もゴールドマンサックス出身ですし、FRBの元議長を顧問に受け入れるなど、人脈作りは本当に凄い。
そのゴールドマンサックスのチーフアナリストが、2週間ほど前、「サブプライムローン問題における金融機関の混乱はほぼ終わった」と発言しました。彼らの行動パターンは、まず、自分たちがポジションを仕込みきった後で、こうした発言をして他の人をその流れに誘導し、儲けるというものです。常に人より先に行動するということです。
今回も、実際はアナリストがこうした発言をするより以前に、市場の混乱が落ち着くというシナリオによるリスクテイク(賭け)をしていたと推測できます。
結果は、いうまでもなく、その前後から市場は急速に回復を始め、先週は大きな巻き返しが起きました。米国の株式を中心に、世界中の株式が軒並み上昇、ドルも堅調に推移しています。円相場も市場の落ち着きとともに円安方向に向かいました。
極め付きは先週末の日本の円金利です。先週末、日本の長短金利が急上昇しました。取引所では、円金利関連商品がサーキットブレーカーという制度にひっかかって、取引が停止になるほどの激しい動きでした。世界経済減速にかけていた投資家があぶりだされてしまったのです。またしても、ゴールドンマンサックスの思い通りの相場展開となってしまったのです。
■「みんなが騒いでいるから、そろそろ終わりかな?」という発想も大事
まわりが騒ぎ出すと大衆は不安になって、そちらの方向に行動してしまいます。そこで、ゴールドマンサックスのようなしたたかな連中の餌食となってしまう。相場の常です。きっと彼らは、今度はみんなが安心しきったときに、逆のポジションを取って、次の混乱に備えるのでしょう。
世の中で多くの人によって大げさに言われていることは、ほとんどのケースでそうした事態は起きません。「みんなが騒いでいるから、そろそろ終わりかな?」というアマノジャク的な発想も投資で成功するにはとても大事だと思います。
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