9月の3連休に衝撃的なニュースが飛び込んできました。アメリカ大手証券会社、リーマン・ブラザーズの経営破綻。さすがに経済オンチの私でも、「これは大変なことになった!」と思い、為替相場に注目していたら…案の定、急落です。先週末から米ドル/円は3円以上下げています。
…と、書いた翌日には2円近く戻り、文字通り乱高下が続いています。ここ最近は素人がウッカリ参戦すると、イタイ目にあいそうな相場が続いているように思います。
そこで今回は、番外編として直近のチャートを見ながら、「こんな時、初心者はどう動けばよいのか?」川口先生に聞いてみました!
【参考記事】
●ユニークなペンタゴンチャートが新登場!米ドル/円相場は今、重大な分岐点に…!?
●竹中平蔵氏が校長のFX予備校が開校!?有名講師陣のFX講義、受けるなら今でしょ!

Q.1
相場の方向性をつかみにくい今のような相場では、初心者はポジションを持たない方がいいんですか?
A.1
こわいと思うならポジションを持たない方がいいですね。たとえば、米ドルは日本人にとって、円の次に親しみやすい通貨だと思うんです。日本人は、日本経済の次にアメリカ経済を知っているのではないでしょうか? 投資は、「知っているもの」に手を出すのが基本。その「知っている」はずの米ドルがこれだけ乱高下するなら、様子を見るのが無難でしょう。
Q.2
「それでも、ポジションを持ちたい!」という人は、どんなことに気をつければいいですか?
A.2
2つポイントがあります。(1)自分の中で、その通貨の将来性は見えているか? 「どの国の通貨が伸びていくのか」を考えながら、投資行動をとることが大事です。(2)節目を何本も引いて、近いところに上昇と下落のメドをきちんとつけることです。その狭い範囲内の上昇や下落を狙っていくのなら、アリだと思います。
Q.3
もみ合いの時は、1日くらいで決済するなど短い期間でトレードする方がいいんですか?
A.3
ポジションを一度に持ちすぎないことです。少しずつ持つならOKです。必ずしも1日で決済する必要はなく、「目指す節目を割り込むのか、割り込まないのか」が重要になってくるので、割り込まない限りは狙っていけます。ただし、損切りの徹底は必須です。そうすれば、大きく損することはありません。
Q.4
ズバリ今の相場の節目を教えてください。
A.4
前回「第15回 チャートはどうやって見るの?(2)【後編】」も示しましたが、大きく見て3つの節目が考えられます。これを知っておけば、そんなに慌てることはありません。
【1】108.20~108.30 【2】105.50 【3】103.00 下は103.00と見ていますが、半年前まで遡ると102.50~102.70をつけているので、これを割らない限り、100円割れはないと考えます。トレードのひとつの手法として、「102.50を割ったら売り。…ですが、そのまま下落せず戻った時のためにストップ注文を入れておく」ことですね。
なるほど~。確かに前回教えていただいた節目と同じですね。ここまで聞いて、【図1】を見てみると、この1カ月はほぼ【1】から【3】の節目内で動いていることがわかります。では、川口先生は、最近の米ドル/円の動きをどう見ていますか? 今後の方向性も教えてください!

Q.5
最近の米ドル/円をどう見てますか?
A.5
弱いんだなと思います。値段的には節目を意識して動いてはいるんですが、【図1】の3本の線のうち【2】で止まる(反発する)だろうと思っていましたが、思っていたより脆く下までいってしまいました。リーマンの破綻までは読めなかったですね。米証券第3位のメリルリンチが買収され、米証券4位のリーマンが破綻、米保険最大手のAIG救済、モルガン・スタンレーの合併交渉報道…大きなニュースばかり。これはすごいことです。日本の大手金融機関が次々に合併や破綻すると考えれば、いかにすごい出来事かわかるでしょう。
Q.6
今後の方向性を教えてください。
A.6
この乱高下は、いったん落ち着くと思います。具体的には、【1】と【3】の間でもち合いながら、【1】の節目を上抜けて上昇トレンドになるか? 【3】の節目を割り込んで下落トレンドになるか? 次の展開を試していくのではないかと見ています。

とてもよくわかりました! ポジションを持つなら、この間で持ってみようと思います。でも、もっと根本的なことも気になるのですが…。
混迷する世界経済に振り回されないためには、どうしたらいいんですか?
「北京オリンピックの結果が物語っていますが、グローバルな視野を持っている人が勝つ時代なんです。フェンシングの太田選手、柔道の石井選手はグローバル化を意識していたから勝利を収めることができた。
でも、野球はメダルを取れなかった。金メダル候補などともてはやされ、自負がありすぎて『ボールが違う』『ストライクゾーンがおかしい』と、世界の新しい流れを無視していたからです。一方、石井選手はフランス合宿を行なうなど、世界のJUDOを学んでいたわけです。
FXの話に戻すと、米ドル/円の取引をするなら、アメリカと日本だけではなく、より視野を広げることで、世界的な流れと結びつけて考えられるようになると思います」
とてもわかりやすいたとえです。実行できるかはともかく…。言葉だけではなく、本当にグローバルな視野が求められつつあることは実感する日々です。勉強しなきゃです。
■今日のナットク■
「チャートをきちんと読めるようになることは大事だけど、取引する通貨の経済情勢や将来性など、根底で“その通貨が強くなるのか、弱くなるのか”を把握しておくことも大事!」
(「第17回 チャートはどうやって見るの? ~形のパターンでチャートを知る(1)~」へつづく)
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