日本企業は3月末決算が普通ですが、ヘッジファンドは5月末中間決算、11月末本決算というケースが基本です。このため、決算でのポジションの手仕舞いで、11月前後に大きなポジション調整が入りやすいということでしょう。
■米ドル安はいったんクライマックスを迎えそう
今年の場合も、ヘッジファンドは米ドル売りに動き、実際米ドル相場が大きく下落した中で利益を上げてきたのかもしれません。
そんな利益を確定しようと、11月決算へ向けて動き出したとすれば、ある意味で米ドル売りの幕引きに動いているということになるでしょう。
ではそれにより、この米ドル安相場も一段落し、転換へ向かうのでしょうか?
その可能性も十分あるでしょう。なぜなら、米ドル安もすでにかなり長く続いており、本来なら一息入れるタイミングに入っていると思われるからです。
10月の米ドルは対円で陰線(米ドル安)引けとなりました。これで5月から6ヵ月連続の陰線引けとなったのです。

下表のとおり、1995年以降で確認したかぎりでは、月足の陰線または陽線の連続記録は7ヵ月が最長で3回、そして6ヵ月が1回ありました。
こんなふうにみると、今回の6ヵ月連続米ドル陰線引けは、かなり記録的な米ドル安ロングランであることがわかるでしょう。

■転換点に入る米ドル安ロングラン
経験則からすると、月足連続記録は長くても7ヵ月続くのが精一杯ということですから、今回の場合もこれから2ヵ月、つまり11月か12月で月足は米ドル陽転(米ドル高へ転換)が起こるといった見通しになるわけです。
こんなふうに、さすがに米ドル安相場も長く続いたので、いったんは転換点に差し掛かっているということ、そしてそのタイミングで、相場のリード役になることの多いヘッジファンドはいったんの米ドル売り幕引きに動いている可能性が高いというわけです。
以上のことからすると、米ドル安はいよいよいったんのクライマックスを迎える可能性が高そうですが、FOMC(連邦公開市場委員会)、米中間選挙、G20サミット(20カ国・地域首脳会議)など目白押しのイベントを見ながら、実際のドラマが展開することになりそうです。
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