・ユーロ政策金利は、5月に0.25%の利下げ(可能性90%)
・何かしらの量的緩和策で、インフレを喚起する政策を採るようだ
■ECBの5月の利下げが、最後となる可能性
この週末に、トリシェECB(欧州中央銀行)総裁が来日していた。
その際の、トリシェ総裁のコメントは以下のとおりだ。
・追加利下げの可能性を排除しない
・次回の会合では0.25%の利下げを実施するだろう
・ゼロ金利政策はECB、ユーロ圏にとって適切ではない
ECBの政策金利は過去最低の1.25%となっていて、2008年10月以降の利下げ幅は3.00%になっている。ECBが5月に0.25%の利下げを実施すると、政策金利は1.00%となる。
5月に行う利下げが最後の利下げとなる可能性が高く、トリシェ発言のとおりに、ECBとしては「ゼロ金利政策」は採らないのだろう。
ユーロの政策金利引き下げが、目先はユーロ売りの材料となる。
しかし、0.25%の利下げが「織り込み済み」となるのは時間の問題で、「利下げが当然である」というマーケットのコンセンサスが、次第にでき上がるだろう。
■トリシェ総裁の発言にある「非伝統的手段」とは?
以下のトリシェ総裁のコメントもあった。
・ECBは5月の会合で非伝統的手段を決定する
この、「非伝統的手段」とは、『インフレの急低下を抑制するために』行われる措置のようだが、それ(非伝統的手段)が何であるのかは、よくわからない。具体的な対策について言及していないので、わからないのだ。
マーケットでは、非伝統的金融政策の一環として、社債やCP(コマーシャルペーパー)の買い取り、流動性供給の期間延長、国債の買い取りなど、さまざまな手段が候補に挙がっているようだ。
要するに、「インフレ」を起こすような金融政策なのだから、「量的緩和策」と考えておけば、無難なところだろう。
■週明け4月20日以降、「ユーロ売り」が止まらない
今週(4月20日 月曜日以降)に入ってからの為替市場の値動きは、このところと比べると相対的に激しい。
トリシェ発言を材料に、つまり、「ユーロの利下げ」と「欧州のデフレ=欧州の不況」への懸念から、週明け4月20日(月)は東京市場でも、「ユーロ売り」が断続的に出た。
ユーロ/ドルは、1.30ドル台ミドルでウェリントン・シドニー市場の取引が始まったが、東京市場では1.29ドル台ミドルに下落した。この日は、ロンドン市場でも下落傾向が持続し、ニューヨーク市場の午前中には、1.2900ドルを割り込んで1.28ドル台後半まで下落している。
ユーロ/円も同様に下落した。
週明け4月20日(月)は、東京市場朝方では129円台ミドルで推移していたが、その後は128円台前半に下落し、ロンドン市場では128.00円を割り込んで127円台に下落した。ニューヨーク市場においては、午前中に127.00円を割り込んで、126円台にまで下落している。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
勢いから見ると、ユーロ/ドル、ユーロ/円はともに、まだ下落余地がかなりありそうだ。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)