ユーロ/円が、2000年を大底に、2008年まで大きく上昇した様子が描かれている。その長期間の上昇は、「緑の実線」で示したサポート・ラインに従っていた。
■ユーロ/円は安値圏での保ち合い相場から次の動きへ?
2008年のクラッシュ(大暴落)では、高値170円程度(正確には169.95円程度)から、安値110円程度(正確には112.05円程度)まで急落している。
約60円の暴落と言える。
そして、クラッシュの後は安値圏での保ち合い相場が続いている。
クラッシュ(大暴落)の後は、安値圏での保ち合いとなることが多いので、今回のユーロ/円もそのセオリーどおりに動いている、と考えている。
2009年に、概してユーロ/米ドルは上昇したが、それは、「ドル・キャリー・トレード」によるものだ、と考えている。
そして、このユーロ/米ドルでの「ドル・キャリー・トレード」が拡大している間は、ユーロ/円もその影響から上昇したが、140円台には乗せることができなかった。
2009年12月に、ギリシャ問題が発覚し、ユーロ/米ドルが下落を始めると、その影響から、ユーロ/円も下落している。
現在のサポート・ラインは、上のチャートに描いた「ピンクの実線」と考えている。
■サポート・ラインをいったん下にブレイク!
この「ピンクの実線」は、先週の急落の際に下に抜けたので、すでに一度ブレイクされている。そしてその後、リバウンド(反発上昇)している。
このサポート・ラインが、いまだに有効であるか否かは不明だが、便宜上、上のチャートには残しておいた。
「ピンクの実線」のサポート・ラインを、明確に下に抜けた場合は「もう一段、大きく下落する可能性がある」と考えていたが、ユーロ/円が、ゴールデン・ウィークの週に、110円台ミドルまで急落したことで、そのとおりになった、と考えている。
欧州中央銀行(ECB)や、欧州各国のギリシャ問題への対応策を材料に、マーケットは乱高下しているが、大きな流れを見ると、「ユーロ安・円高トレンド」に変化はない、とみている。
■乱高下としか言いようがないユーロ/円相場
次にユーロ/円(EUR/JPY)の週足チャートをご覧いただきたい。
週足チャートで見ると、2008年後半の大暴落(クラッシュ)の直前は、2007年ごろから2008年にかけて、「ヘッド&ショルダー」(※)を形成していたことがわかる。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つ。チャートが人の頭と両肩のように見えるためにそう呼ばれており、天井を示す典型的な形とされている。「三尊型」とも呼ばれる)
2008年後半から現在に至るまで、上限140円程度、下限110円程度(2008年の安値は112円程度)の「ボックス相場」を形成しているが、前述した「ヘッド&ショルダー」のネック・ライン(149円程度)には届かなかった。
5月6日(木)のニューヨーク市場での急落で、ユーロ/円は一時、110円台をつけている。
それまでの下限だった112円を下に抜けている、ということだ。
その後の値動きでは、大きくリバウンド(反発)して、5月10日(月)は、122円台にまで戻している。
翌日5月11日(火)は急落して117円台を見ている。本稿執筆時である5月12日(水)は116円台まで下落した。
ひとことで言えば、これは「乱高下」だ。
しかしながら、一時的な反発はあっても、「ピンクの実線」で示したレジスタンス・ラインを上に抜けていかない限り、ユーロ/円の流れは、「ユーロ売り・円買い」だと判断している。
■「はらみ寄せ」のセオリーに従えば…
週足チャートで見ると、ユーロ/円は「はらみ寄せ」を作っている。
「はらみ寄せ」の場合、セオリーは…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)