さて、米ドル/円の週足チャートをご覧いただきたい。
ここまで述べたとおり、米ドル/円のトレンドは「米ドル安・円高」で変わらずだと判断している。
チャートには、現在のレジスタンスラインを緑の破線で示し、このところの安値である8月上旬につけた84.70円の水準をピンクの水平線で示した。
すると、週足チャートで現在の米ドル/円を見れば、緑の破線とピンクの水平線によって「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成していたということが読み取れる。
「三角保ち合い(ウェッジ)」が形成された場合のセオリーは、緑の破線を上抜けたら「買い」、ピンクの水平線を下抜けたら「売り」となる。
米ドル/円は8月11日(水)に84.70円台の安値をつけて、2009年11月につけた84.80円台の安値を更新し、その後は若干の反発を見ていたが、今回の安値更新で、引き続き「米ドル安・円高トレンド」であることが確認できた。
目先の動きでは、急落せずに小さく反発したり、おおよそ85円台をキープしていたが、安値更新により、すでに「売りシグナル」を発していたということになる。
目先、相場が走らなかった(相場が急落しなかった)ので「変だな…」と違和感を覚えていたが、8月24日(火)に改めて新値を更新し、その下にあったストップ・ロス(損切り)が付いたのだと考える。
なお、ピンクの水平線で示した84.70円の短期的なサポートラインを下抜け、改めて「売りシグナル」が点灯したが、その下には、歴史的な米ドル/円の安値である80.00円(正確には79.75円)が控えていることを付け加えておく。
■84.70円割れは、明確な「売りシグナル」
続いては、米ドル/円の日足チャートをご覧いただきたい。
この日足チャートは180本足(180営業日)のもので、およそ8カ月間分(半年以上の期間)が表示されている。
8月24日(火)の新値更新で下落幅が拡大したが、それ以前の米ドル/円は半年以上にわたり、上限が95円程度、下限が85円程度の10円の値幅の中で上下動が繰り返されていた。
つまり、8月24日(火)の急落前は、値動きが10円程度の値幅に収まっていたのだから、比較的静かで、緩慢な状態にあったと言える。
もちろん、今年のゴールデン・ウィーク前後から現時点まで、米ドル/円が
大きく下落したことも見て取れる。
チャートの緑の破線(太線)は目先のレジスタンスラインで、緑の破線(細線)はその平行線だが、このところの米ドル/円は、この2本の平行線の傾きで下落している。
今回の新安値更新によって、米ドル/円が引き続き「米ドル安・円高トレンド」であることも再確認できた。
また、青の破線(太線)はもっと短期で目先のレジスタンスラインであり、青の破線(細線)はその平行線だ。ごく短期で目先の値動きをとらえるならば、現時点の米ドル/円は、この2本の平行線の傾きで下落している。
84.70円を明確に下に割り込んだ水準にはストップ・ロス・オーダー、すなわち損切りの「米ドル売り・円買い注文」があり、これが行使されたために急落したと考えている。
84.70円を下に割り込んだ水準を「売る」のは怖いし、勇気が要るだろう。
しかし、84.70円割れは、明確な「売りシグナル」だった。
8月24日(火)のマーケットは、そのシグナルどおりに動いたと考えている。
■米ドル/円のロングででたまたま勝ったとしても…
引き続き、考え方は変わらない。今のところ、私の考えが正しくて、考え方を変える必要がないと判断している。
大局で、トレンドで戦うならば、ここでの米ドル/円の買いはセオリーに反する。米ドル/円を取引するならば、どこかで「米ドル売り・円買い」のポジションを取るべきだ。
しかし、90円を割り込んだ現在の水準、80円台を売り持ちにするのは精神的に苦しいだろう。持つならば、ポジションを小さくして、負けてもよいくらいの覚悟で「米ドル売り・円買い」だ。
個人的には、ここで米ドル/円を買うぐらいならば、相場をやらないほうがよいと引き続き考えている。「値ごろ感」での米ドル/円の買いがいちばんダメだ。
万一、何らかの神風が吹いて、この水準での米ドル/円のロング(買い持ち)でたまたま勝ったとしても、この水準を値ごろ感で買うといった判断(行動)は、これから先の相場で大きく負ける伏線に、必ずなるだろう。
この水準を怖くて売れないというならば、まだ「夏休み相場」なのだから、
スクエアに、つまり、ポジションなしの状態にすればよい。
(2010年8月25日 東京時間8:30記述)
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